2013 Fiscal Year Research-status Report
酵素処理と機械的処理による高アスペクト比のタケミクロフィブリルの単離とその応用
Project/Area Number |
25450251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
林 徳子 独立行政法人森林総合研究所, きのこ・微生物研究領域, 主任研究員 (20353815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 知子 独立行政法人森林総合研究所, きのこ・微生物研究領域, 主任研究員 (60353728)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タケ / セルロースミクロフィブリル / キシラン / ハイドロゲル / 機械処理 / エンドグルカナーゼ |
Research Abstract |
我々は、機械処理と酵素処理を同時に行う温和な条件でのセルロースナノファイバー化法を考案し、機械処理条件を変えることで、繊維の長さ制御が容易に出来る事も見出した。得られたCMFは凍結乾燥して保管可能で、再分散により懸濁液を得ることができる。凍結乾燥した試料を用いてラマン分光分析、X線回折などの測定を行った。また、透過型電子顕微鏡観察は未乾燥の懸濁液を用い、生産されたCMFのサイズを測定した。 26年度はアルカリ処理により脱リグニンされたタケについて、機械処理として超音波破砕と撹拌を交互に行い、同時にセルラーゼ(ファミリー45のエンドグルカナーゼ)を投入して処理した結果、2-4nm径、約1µm長のCMFを単離した。多くの場合、特に短いCMFでは2-3本凝集することが多かった。また、このとき、溶媒を水とバッファーで比較したところ、水の方がCMF長は若干短かく、得られたCMFの水懸濁液が半透明なハイドロゲルを形成しやすい傾向を示した。この方法によりほとんどのCMFをミクロフィブリル化することができた。 また、タケCMFの糖組成を分析した結果、アルカリ処理したタケパルプではグルコース85-87%、キシロース13-15%、アラビノース0.4%、一方、ミクロフィブリル化したCMFではグルコース72-80%、キシロース15-18%、アラビノース2-3%、ガラクトース2-4%、マンノース1-2%であった。 CMF水懸濁液を放置して形成された半透明なゲルは、寒天と比べると脆くて硬い傾向があり、増粘嚥下材としての可能性を示した。このゲルにキシラナーゼを加えるとゲルが解けてフレーク状の塊が生じたことから、ゲル形成にはCMFに含まれるキシランの関与が大きいこと、また、ゲルの単位がフレークであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに研究を進めることができたが、粘弾性測定に若干遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後2年間で当初の計画に沿ってガラクトグルコマンナン、グアーガム等他の多糖類との混合などの複合材料への進展を図るとともに、CMFとキシランの相互作用等微細構造について明らかにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費及び依頼分析費用が予定よりも安くなったため、次年度使用額が生じた。 依頼分析について追加測定を行う予定である。
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