2014 Fiscal Year Research-status Report
マサバの卵質に及ぼす要因の解明と卵質評価方法の確立
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25450276
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長野 直樹 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50437943)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 種苗生産 / 卵質 / マサバ |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類の種苗生産においては、卵質がふ化した仔魚の生残や成長に大きく影響することから、良質な受精卵の安定確保が重要な課題の一つである。本研究の目的は、種苗生産および養殖技術の開発が要望されているマサバの卵質と、ふ化した仔魚の質に及ぼす雌親魚の成熟・産卵様式の影響、および雌親魚の栄養状態の影響を解明することである。今年度は異なる脂肪酸組成の飼料を給餌したマサバの親魚から卵を採取し、飼料中の脂肪酸組成の違いが卵質に及ぼす影響を調べた。 異なる種類の油脂(A:魚油、B:アラキドン酸、C:DHA、D:植物油)を5%添加した市販の配合飼料(粗脂肪6%)を2か月間給餌し養成した親魚を用いて採卵試験を行った。産卵の誘導は5トン楕円形水槽に収容された親魚に生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)を400 μg/kgずつ筋肉注射することにより行った。卵と仔魚の質の評価は、無給餌条件下におけるふ化仔魚の生残率を比較することにより行った。また、受精卵からFolch法により脂質を抽出し,ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸組成の分析に供した。 受精卵の脂肪酸組成は給餌した飼料の脂肪酸組成を反映していた。採卵数は試験区A(魚油添加区)と試験区C(DHA添加区)において多く、試験区B(アラキドン酸添加区)と試験区D(植物油添加区)において少なかった。またメス1尾当たりの産卵数もAとCにおいて多く、BとDにおいて少なかった。無給餌条件下におけるふ化仔魚の生残率は試験区AとCにおいて高く、BとDにおいて低かった。飼料の脂肪酸組成が、親魚の産卵数及び仔魚の生残に影響したことが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、マサバ雌親魚の年齢が卵質に及ぼす影響について明らかにすることを目的とし、当初の計画通りに採卵試験および成分分析を行い、雌親魚の年齢が卵質に及ぼす影響を評価することができた。また、平成26年度は、親魚の飼料中の脂肪酸組成が卵質に及ぼす影響について明らかにすることを目的とし、当初の計画通りに採卵試験および成分分析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では研究期間内に、マサバ雌親魚の年齢や栄養状態が卵質に及ぼす影響について明らかにすることを目的としている。平成25年度は雌親魚の年齢が卵質に及ぼす影響を評価した。また、平成26年度は飼料の脂肪酸組成が卵質に及ぼす影響について評価した。平成27年度は飼料のアミノ酸組成が卵質に及ぼす影響について評価することを計画している。
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Causes of Carryover |
研究成果の発表および協力研究員との研究打ち合わせのために計画していた旅費に差異が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の発表のための旅費、または論文投稿のために使用する予定である。
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