2014 Fiscal Year Research-status Report
斬新な統計モデルに基づく漁獲効率解析:手法の開発と浮魚類・鹿児島近海魚類への適用
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25450278
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
庄野 宏 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (30344328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大富 潤 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (10253915)
増田 育司 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (70107861)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 統計モデル / データマイニング / 機械学習 / 漁獲量予測 / 漁獲効率解析 / CPUE / 赤潮 / 高次元母数推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、傾向スコアや共分散構造分析などの新しい統計モデル、サポートベクター回帰やニューラルネットワークなどの機械学習理論に基づくデータマイニング的なアプローチを利用して、遠洋域におけるまぐろ・かつおなどの浮魚類、鹿児島近海の魚類や甲殻類など様々な海洋生物資源のCPUE(catch per unit effort)標準化と呼ばれる漁獲効率解析や資源の絶対量推定、漁獲量予測などを行う。 2014年度は、主に以下の3つの問題について研究を実施した。 1.サポートベクター回帰、ニューラルネットワーク、樹形モデルという3種類の機械学習手法および伝統的な一般化線型モデルによるミナミマグロ資源のCPUE解析を行い、サポートベクター回帰およびの性能が優れていることをバリデーションにより示した。また、機械学習手法を用いてCPUE年トレンドを抽出するための要因分析手法を提案した。 これらの結果を学術論文としてまとめ、Fisheries Science誌に受理・掲載された。 2.鹿児島近海に来遊するクロマグロ幼魚の漁獲量予測を他県のクロマグロ漁獲量や鹿児島県のカツオ漁獲量などの生物学的情報および鹿児島近隣における表面水温などの海洋環境情報に基づいて、サポートベクター回帰や一般化加法モデル利用して行った解析結果が、査読付き原著論文として投稿した学術雑誌(計量生物学)に受理・掲載された。 3.鹿児島虔および熊本県のブリ養殖業に甚大な被害を与えている八代海の赤潮について、発生の有無および発生の規模を八代および水俣の気温や降水量など過去の気象データに基づき、Partial Least Square回帰およびLasso, Elastic-Netと呼ばれるパラメータ数が標本数よりも多い場合に適用可能な斬新な統計モデルを使用して予測したところ、2014年度の赤潮発生の有無および規模をうまく予測できることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まぐろ・かつお等の浮魚類や鹿児島近海の魚類における斬新な統計モデルや機械学習理論に基づくケース・スタディ 1.実データ(ミナミマグロ資源の漁獲量・努力量データ)を利用したデータマイニング的なアプローチに基づくCPUE解析、およびバリデーションによる性能評価 2.生物学的情報や海洋環境データを利用した、サポートベクター回帰や一般化加法モデルに基づく鹿児島近海におけるクロマグロ幼魚の漁獲量予測 3.気象データに基づく高次元母数推定手法(Lp正則化)を利用した八代海における赤潮発生の有無および規模の予測 を実施し、2と3については原著論文として投稿し。査読プロセスを経て受理され、学術雑誌に掲載できたことから、研究はおおむね順調に進展している、と判断しました。
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Strategy for Future Research Activity |
ブリ養殖業に多大な被害を与え続けている八代海および鹿児島近海における赤潮の発生予測について、気象庁が公表している気象データおよび鹿児島県水産技術開発センターが実施している水質調査データに基づき、標本数よりも未知パラメーター数が多い場合の高次元母数推定手法、その中でも特にLp正則化と呼ばれる母数の罰則項を付与した統計モデルを利用して行っていきたい。 2015年夏季におけるこれらの海域での赤潮発生の有無および規模の予測を的中させるとともに、斬新な高次元母数推定手法の有効性および実用性を実証していきたい。 まき網の目合いサイズを大きくした場合におけるまぐろ・かつお類の漁獲削減効果の推定について、傾向スコアや共分散構造分析などの統計モデルによる解析を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
鹿児島大学水産学部における私の研究室が入っている建物が改修工事を行ったため(2013年9月から2014年6月)、その期間に別の建物で研究を行っていました。そのため、移設にともなう故障や紛失のリスクを考慮し、PC関連のハードウェアやソフトウェアの購入を先送りしたため、平成25年度に多額の次年度使用額が発生しました。 建物の改修工事終了後の2014年7月以降、平成26年度に予定していたPC関連物品を購入しましたが、ソフトウェアについては一部を平成27年度に先延ばししました。このことが、次年度使用額が生じた原因になります。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の次年度使用額にて、平成27年度に環境データ解析用のソフトウェアおよび統計解析用のソフトウェアを購入する予定です。その他については、特段の変更はございません。
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Research Products
(11 results)