2013 Fiscal Year Research-status Report
培養細胞を利用した養殖クロマグロ品質改善システムの構築
Project/Area Number |
25450285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
塚正 泰之 近畿大学, 農学部, 教授 (90298943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 智広 近畿大学, 農学部, 講師 (30435854)
安藤 正史 近畿大学, 農学部, 教授 (80247965)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メト化 / コラーゲン / 水銀 / 吸収阻害 |
Research Abstract |
培養細胞を用いたミオグロビンのメト化抑制物質スクリーニングシステム構築の前段階として,マアジに抗酸化物質(L-アスコルビン酸ナトリウム,α-トコフェロール)注射を行い,それぞれ1.3μmol/g,0.13μmol/gで血合筋に対して高いメト化抑制効果を示すことを確認した。 ヒト結腸癌由来の細胞(Caco-2細胞)を用いた。Caco-2細胞をトランスウェルに培養し,一定の細胞層が形成されたところで水銀吸収阻害実験に用いた。トランスウェル上部に野菜圧搾液(14種類,混合比1%)メチル水銀(1ppm)を含むCaco-2培養培地,下部には培地のみを置き,1・3・24時間後における上部,細胞層,下部に含まれる総水銀量を測定し,各画分における水銀の存在比を計算した。特に大きな吸収阻害効果の見られたアスパラガスにおいては,開始1時間後に上部の水銀存在率が対照区で63%であったのに対し91%,3時間後に同39%に対して85%であった。 天然物エキスにコラーゲン合成亢進作用があるか検討するために、ゼブラフィッシュ尾鰭由来培養細胞BRF41細胞株を用いて検証した。BRF41細胞株にL-Ascorbic acid(0.01-1mM)を添加し5日間22℃で培養後、シリウスレッド・ファストグリーン半定量染色法によりコラーゲン量を測定した。その結果、0.5 mM以上の処理でコラーゲンの合成が約20%上昇した。このアッセイ条件で、カテキン、エピガロガテキンガレート、カテキン配糖体およびレスベラトロールを用いて検討したが、コラーゲンの量に変化はなかった。陽性コントロールであるL-Ascorbic acid処理でも無処理の細胞のコラーゲン量に対して約20%のコラーゲン増加しか認められないので、合成量の差を確認する評価系としてはより有意にコラーゲン合成亢進するレチノイン酸など陽性対象成分を再検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
供試魚の骨格筋細胞の初代培養の条件検討に時間を要したため,活魚に対する抗酸化物質の効果を直接的に確認したことが理由である。 供試魚の腸管上皮細胞の初代培養の条件検討に時間を要したため,Caco-2細胞を用いた水銀吸収阻害試験で腸管上皮細胞による栄養物質吸収のモデル試験を実施したことが理由である。 コラーゲン合成亢進作用のある天然物質のスクリーニング実験では,用いた陽性コントロールのコラーゲン合成量が少なく,天然物質の効果の判定がうまく行えなかったことが原因と考えられる。再度,陽性物質の検討を行う必要が出たことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
クロマグロまたは入手しやすいマアジの骨格筋細胞を用いてミオグロビンのメト化を抑制する天然物スクリーニングシステムを構築する。 効果の認められた野菜の圧搾液の成分を分画し,水銀吸収阻害物質のスクリーニングをすすめ,ある程度の情報が得られた時点で生魚を用いた飼育実験に移行する。 コラーゲン合成量の差を確認する評価系として,レチノイン酸など陽性対象成分を再検討してコラーゲン合成亢進作用のある天然物スクリーニングシステムを構築する。
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