2014 Fiscal Year Research-status Report
生理学的および生態学的手法を用いた海洋生活初期のサケ・マス稚幼魚の成長率評価
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25450289
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
宮腰 靖之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, その他 (70442639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 宗敬 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 講師 (90431337)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サケ / カラフトマス / インスリン様成長因子 / 耳石日周輪 / 沿岸域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、サケ・マス類の生活史の中で死亡率が最も高いとされる海洋生活初期におけるサケとカラフトマスの成長率を生理学的および生態学的手法を用いて評価し、両種の海洋生活初期の生残機構に関する新たな知見を得ることを目的とする。 平成25年度および26年度の2ヵ年にわたり、室内実験によりサケ・マス稚魚の成長率の指標(筋肉のRNA/DNA比および血中インスリン様成長因子(IGF)-I量)の有効性を検討した。また、野外では網走川の河口および沿岸で5月中旬から7月上旬にかけて旬1回、計6回にわたりサケ・マス稚魚の採集を行い、採集された稚魚の分布と成長、鰓のNa+/K+-ATPase活性、筋肉のRNA/DNA比および血中IGF-I量を測定した。 室内実験では血中IGF-I量が稚魚の成長率を最もよく反映することが確認され、成長率の指標として有効であることが確認された。 野外調査ではサケ・マスの稚魚の分布時期と場所は水温の影響を強く受けるとの結果となった。平成25年度は例年よりも沿岸水温が低く推移し、5月中はサケ・マス稚魚は河口域にしか分布せず、沿岸で稚魚がみられたのは6月に入ってからであった。平成26年度の沿岸水温は最近5年間の平均的な水温で推移し、5月下旬以降、沿岸域で多数のサケ・マス稚魚が採捕された。河口域での稚魚の分布時期はカラフトマスがサケより1旬早かった。河口から沖に向かうにつれて、大型の稚魚が分布する傾向がみられた。筋肉のRNA/DNA比および血中IGF-I量も河口から沖に向かうにつれて高くなる傾向があるとともに、時期を追うごとに高くなる傾向がみられた。河口付近で採集された稚魚では調査期間を通じてIGF-Iは低位のままで推移しており、降海直後の河口域がサケ・マス稚魚の生き残りに関わる重要な生息場所であることが示唆されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画どおり順調に研究が実施できており、当初の研究目的を達成できると考えられるため
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Strategy for Future Research Activity |
計画どおりの進捗が見込まれるため、計画変更を行わず、研究遂行上の課題もない
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Causes of Carryover |
平成26年度は概ね計画どおりの研究を実施できたが、天候の影響による調査日程の短縮した日があったことや、採集された稚魚のサンプル数が少なく試薬などが少なく済んだために経費が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は計画どおりの研究を実施することに加えて、成果の発表等も積極的に行うことにより研究費を使用することを予定している。
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Research Products
(4 results)