2014 Fiscal Year Research-status Report
サケ科魚類の個体数変動:資源の変動幅を規定する要因の抽出
Project/Area Number |
25450293
|
Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
森田 健太郎 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 主任研究員 (30373468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 潤一 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (80524694)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | サケ科魚類 / 個体群動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
サケ科魚類の個体群動態を規定する要因を明らかにするため,長期モニタリングの対象とした4河川に生息するサケ科魚類の個体群統計データの収集および解析を行った. 戸切地川(北斗市)では,在来種のイワナ(アメマス)と外来種のニジマスおよびブラウントラウトについて,2002年から継続して個体数モニタリングを行っており,2014年の調査結果を合わせて13年分のデータが蓄積された.時系列で種ごとの個体群動態を見ると,アメマスは減少,ニジマスは増加,ブラウントラウトは増加した後減少に転じる傾向が継続して確認された. 居麻府川(羅臼町)および富士川支流(甲府市)のモニタリング調査も予定どおり実施し,それぞれ14年間及び11年間の個体群動態のデータが蓄積された.居麻府川においては,1980年代に絶滅したサクラマスが,種苗放流は一切行われていないにもかかわらず,2005年頃に迷入により自然に再生し,2011年に遡上を妨げていた砂防堰堤に魚道が設置されて以降は,高い密度でサクラマスが生息するようになるという興味深いデータが得られている. さらに,2014年度は,1999年にイワナの生息調査を行った北海道南部の30河川に設置された砂防堰堤上流において再調査を行った.その結果,河川規模が小さな3河川でイワナの絶滅が確認され,15年間で約1割の河川で絶滅が生じたことが確認された.一方,田沢川(江差町)の砂防堰堤上流域では,1999年の調査ではサケ科魚類は皆無であったが,その後に魚道が設置され,2015年の時点ではイワナおよびサクラマスが高い密度で確認され,自然再生が生じていることも確認された. また,千歳サケのふるさと館の観察窓で目視されたサケ稚魚のデータを分析することにより,千歳川のサケの回帰率の年変動をもたらす要因として降下時期の河川水温が重要であることを明らかにし,論文発表を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたモニタリング調査を全て実施することができた他,新たなフィールド調査も実施することができた.また,サケ回帰率の年変動要因に関する分析結果を論文化することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに野外調査を実施するとともに,得られた成果の学会発表および論文化を進める.
|
Causes of Carryover |
今年度に成果発表を予定していた学会への参加ができなかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に国際学会および国内学会に参加し成果発表を計画している.
|