2013 Fiscal Year Research-status Report
水産食品の腸内環境に及ぼす影響-FLX-pyrosequence法を用いた解析
Project/Area Number |
25450300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
久田 孝 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (00290081)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腸内フローラ / 褐藻類 / ラミナラン / アルギン酸 / 腸内腐敗産物 / 腸内発酵 |
Research Abstract |
ヒトの大腸内には500種以上の細菌が100兆個程度存在しており、その膜成分や代謝活性によって、宿主へ大きな影響を与えると考えられている。本研究においては我が国伝統の水産食品の腸内環境に及ぼす影響を調べるため、海藻成分や魚油などをラットに投与した場合の腸内フローラの変動を、FLX-pyrosequence法を用いて解析し、明らかにすることを目的としている。 我が国で消費量の多い褐藻類中の多糖類であるアルギン酸ナトリウムおよびラミナランを、食物繊維を除いたAIN76に2%混ぜた飼料をラットに2週間与えた場合の腸内フローラの変動および腸内発酵産物(有機酸)、腸内腐敗産物(インドール、フェノールなど)の変動を調べた。 これらの多糖類は腸内で発酵されることが認められ、特にラミナランによってプロピオン酸が有意に、また乳酸や酢酸も増加する傾向で、盲腸組織重量が増加した。アルギンの場合、盲腸内容物が多くなり、盲腸内容物全量あたりの有機酸量が増加した。これらの多糖類を発酵する菌群の検出率や菌数はそれぞれの試験食によって増加した。また、発酵に伴いインドール、フェノール、硫化水素などの腸内腐敗物質は減少した。 FLX-pyrosequenceによる腸内フローラの検索の結果、多糖類の接種によってグラム陽性のFumicutesが増加した。また、種レベルでは Pseudoflavonifractor capillosus (Bacteroide capillosus)がアルギン酸によって得意的に増加していた。ラミナラン摂取によってラミナラン分解菌として報告されているClostridium ramosumが検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的である次世代シーケンサーによる解析によって、腸内フローラの変動を確認できた。また、一部の菌群は腸内発酵との関連を考察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H25は海藻の食物繊維について検討したが、H26は植物、牛乳、魚肉由来のタンパク質の影響を検討する。H27は和食、西欧食を考慮した飼料を用いて検討する。 また、可能であるなら腸管上皮細胞を用いてin vitroで水産食品成分及ぼす影響を検討し、in vivoの結果との整合性を検討する。 H25でのFLX-pyrosequenceは委託外注で行ったが、H26からは本学に導入された共通機器の次世代シーケンサーを用いて検討する(厳密にはFLXではない)。
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Research Products
(2 results)