2014 Fiscal Year Research-status Report
魚類エドワジエラ症原因菌による宿主免疫回避の分子機構─細胞生物学的アプローチ─
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25450304
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長富 潔 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40253702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 研治 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (10039737)
金井 欣也 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40145222)
小田 達也 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (60145307)
吉田 朝美 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (80589870)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | flagellin / 抗酸化酵素 / プロモーター / 魚病細菌 / 酸化ストレス / 細胞培養系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では主にヒラメマクロファージの細胞培養系で細胞生物学的手法を用いて、エドワジエラ症の原因菌Edwardsiella tarda (E.tarda) 強毒株flagellinによるマクロファージの免疫応答、抗酸化酵素の転写制御機構の解析、並びに細胞内シグナル伝達経路を明らかにすること、次いで、分子生物学的手法を用い、網羅的プロテオーム解析により未知の病原性関連因子を探索することを目的とした。 本年度は、E.tarda強毒株flagellin遺伝子の大腸菌によるHis-tag融合タンパク質発現系を構築した。E.tarda組換えflagellin、並びにE.tarda強毒株及び弱毒株より調製した菌体外産生物質(ECP)をマウスマクロファージ系細胞RAW264.7に暴露したところ、組換えflagellinでは高いTNF-αの放出が見られ、その値は強毒株由来ECPにおける測定値よりも高かった。また、組換えflagellin暴露に伴うNO放出量の増加も認められたが、両菌株由来ECP暴露の方が約2倍高かった。これらの結果はE.tarda強毒株由来flagellinがRAW264.7に対するTNF-α及びNOの産生誘導能を有していることを示唆している。 一方、ルシフェラーゼレポーターアッセイ系によるプロモーター領域の解析では、ヒラメCu,Zn-SOD遺伝子5’-上流領域(-1,124 / -1)がプロモーターとして機能し、E.tarda等の刺激に対して転写活性が変化することが示唆された。更に、種々の欠失ミュータントを用いて本酵素遺伝子の転写調節部位の特定を試みた結果、NF-IL6及びC/EBPαの認識配列を欠失させると、転写活性が有意に減少した。従って、NF-IL6及びC/EBPαの認識配列が本酵素遺伝子の発現調節部位と推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
E.tarda弱毒株flagellinの大腸菌による発現系の構築はやや遅れている状況であるが、E.tarda強毒株flagellinの大腸菌による発現系は構築できたのでマクロファージ系細胞の免疫応答を検討した。また、ヒラメCu,Zn-SOD遺伝子プロモーター領域の欠失ミュータントを用いたレポーターアッセイではいくつかの新知見が得られた。従って、全体的には概ね順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヒラメの細胞培養系で組換えflagellin等添加に伴うヒラメ抗酸化酵素遺伝子の転写制御機構の解析並びに網羅的プロテオーム解析による未知の病原因子の探索に取り組む。
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Research Products
(1 results)