2015 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の抗酸菌症の感染防御における細胞性免疫の役割解明
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25450305
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
荒木 亨介 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (30409073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カンパチ / ノカルジア症 / 細胞性免疫 / Interleukin-12 / Interferon gamma / Interleukin-10 / 細胞内寄生細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に作製した6種類のカンパチIL-12p70組換え体について、細胞性免疫誘導型アジュバントとしての有効性を調べるためにNocardia seriolae不活化菌体とともにカンパチにワクチネーションを行った。その結果、N. seriolae不活化菌体を単体で投与した場合にIFN-γ遺伝子の発現抑制やIL-10およびGATA-3遺伝子の発現上昇に加えて抗体価の上昇といった液性免疫誘導が確認されたのに対し、IL-12p70を添加したワクチン投与区においてはIFN-γ遺伝子やT-bet遺伝子の発現上昇に加えてIL-10遺伝子の発現抑制および抗体価の上昇抑制が認められた。これらの結果より、IL-12は細胞性免疫誘導能を示すことが明らかになった。 カンパチのN. seriolaeに対する免疫応答におけるIFN-γの役割を調べるためにカンパチIFN-γの組換え体を作製した。組換えIFN-γを作用させた白血球においてN. seriolaeに対する殺菌活性の上昇が認められたことから、IFN-γはN. seriolaeに対する感染防御において重要な役割を担っていることが示された。また、哺乳類のTh2型サイトカインとして知られるIL-10について、カンパチより遺伝子を単離して組換え体を作製した。カンパチIL-10の機能解析を行った結果、IFN-γやTNF-α遺伝子の発現抑制、N. seriolaeに対する殺菌能の抑制、抗原特異的B細胞の増殖促進の効果に加え、Th1/Th2バランスをTh2優位へとシフトさせる効果も確認された。すなわち魚類IL-10は細胞性免疫を抑制する役割を持つ事が示された。 これらの結果を統合すると、N. seriolaeに対する感染防御にはIFN-γやIL-12が重要な役割を担う細胞性免疫の誘導が必須であることが明らかになった。
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Research Products
(12 results)