2013 Fiscal Year Research-status Report
海洋生物からの新規キチナーゼの検索・機能解析および応用技術開発
Project/Area Number |
25450309
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松宮 政弘 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60150702)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キチナーゼ / 精製 / 機能解析 / cDNAクローニング / 魚類 / 胃 / 軟体動物 / 甲殻類 |
Research Abstract |
1. 硬骨魚類胃キチナーゼの精製・性質・機能解析およびcDNAクローニング: イサキ胃より50kDaおよび60kDaのキチナーゼを精製し、その性質、機能解析を実施した。またそれぞれの遺伝子PtChi-1、PtChi-2を取得した。両キチナーゼは酸性域で良く作用し、基質特異性は両者で異なる事を明らかにした。カサゴ胃46kDa, 52kDa, 56kDaキチナーゼをコードする遺伝子SmChi-1、SmChi-2を取得した。 2.軟体動物マダコ唾液腺キチナーゼの精製・性質・機能解析および部分アミノ酸配列解析: マダコ唾液腺より各種クロマトグラフィーを用いて56kDaキチナーゼを精製し、その性質・機能解析および部分アミノ酸配列解析を実施した。最適pHは4.5、最適温度は40℃で、キチンナノファイバーを良く分解した。N-末端アミノ酸配列およびキチンオリゴ糖分解様式より、family-18エンド型キチナーゼに属すると考えられた。 3.甲殻類キチナーゼ遺伝子の分子クローニング:ガザミ肝膵臓より3種のキチナーゼcDNA断片(PotChi-1, PotChi-2, PotChi-3)が得られそれらは既報の甲殻類キチナーゼの配列と85-94%の相同性を示すことを明かにした。 4.軟骨魚類ヨシキリザメ胃キチナーゼのcDNAクローニング:ヨシキリザメ胃よりRT-PCRおよびRACE法を用いて約1,100 bpのcDNAを得た。演繹アミノ酸配列はアイナメ胃キチナーゼHoChi-1 (AB626093)と70%の相同性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 平成25年度実験計画の「2.軟体動物マダコ、ミズダコ唾液腺キチナーゼの精製・性質・機能解析および部分アミノ酸配列解析」についてはマダコを用いて予定通りに進行させた。 2. 平成25年度実験計画の「1.軟骨魚類ヨシキリザメ、マカスベ胃キチナーゼの精製・性質・機能解析および部分アミノ酸配列解析」 については試料の入手困難およびHPLCの故障のため、平成26年度予定のcDNAクローニングを先行させ、ヨシキリザメ胃よりRT-PCRおよびRACE法を用いて約1,100 bpのcDNAを得ることが出来た。 3. 平成25年度実験計画の「3.硬骨魚類マサバ、アイナメおよびシログチ胃1型酸性キチナーゼ(AFCase-1)および2型酸性キチナーゼ(AFCase-2)全長cDNAを用いた大腸菌による発現系構築および改良」については発表する段階までには進展していないが、進行中である。そこで、平成27年度予定の甲殻類キチナーゼ遺伝子の分子クローニングに着手し、ガザミ肝膵臓より3種のキチナーゼcDNA断片(PotChi-1, PotChi-2, PotChi-3)を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
1.発現系の構築および発現条件の改良の担当者を増員し、研究を推進させる予定である。 2.他種生物キチナーゼのcDNAが得られ出したことより、キチナーゼの系統樹解析(特に脊椎動物)にも力を注ぐ予定である。 3.発現についてはαキチン(自然界に最も豊富に存在するキチン)分解能の高いキチナーゼ遺伝子を優先して進行させる予定である。
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Research Products
(10 results)