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2014 Fiscal Year Research-status Report

青果物の直接的取引における取引慣行の機能と評価に関する研究

Research Project

Project/Area Number 25450315
Research InstitutionIwate University

Principal Investigator

佐藤 和憲  岩手大学, 農学部, 教授 (80355601)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 木立 真直  中央大学, 商学部, 教授 (10224982)
清野 誠喜  新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90225095)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords青果物 / 取引慣行 / 直接取引 / センターフィー / 協賛金 / 特売
Outline of Annual Research Achievements

全国の青果物(主に野菜)を取り扱っている農協(360),農業生産法人(618)を対象として,小売企業等との直接的な取引における各種の取引慣行の導入の有無,導入されている取引慣行の機能,取引慣行の評価などを主な調査項目としたアンケート調査を実施し,251件の回答を得た。また直接取引を行っている小売企業(大手2社,中堅1社),農協(1本部),農業生産法人等(4社)にヒアリング調査を実施し,これに昨年度の実態調査結果も合わせて,取引におけるセンターフィー等の取引慣行の導入実態とその機能を明らかにした。
センターフィーについて,ヒアリング調査では,卸売業者や仲卸業者から高率で負担感が大きいとの指摘があった。しかし,農協,農業生産法人を対象としたアンケート調査では,センター納品している取引案件の43%(暫定値)で支払われているに留まっていた。協賛金も比較的広く支払われているとされているが,アンケート調査ではスーパー等と直接取引している農協・法人の7%(暫定値)が要求されているに過ぎなかった。ただしヒアリング調査では,特定商品に直接係る協賛金は販売促進機能を有することから産地,小売の両サイドとも好意的な評価があった。特売に伴う値引きは,アンケート調査でもスーパー等と直接取引している農協・法人の27%(暫定値)が要求されていた。
以上をふまえて高橋佳生(2013)の取引制度分類に基づいて,摘出された青果物取引における取引慣行を類型化した。センターフィーは,本来的には物流経費で取引慣行に入らないが,産地(メーカー)視点に立てば流通販促費(期間リベート)に類型化できる。また協賛金の多くや特売に伴う値引きは,流通販促費(販促企画費)に類型化できた。ただし高橋の類型は建値制度を前提としたメーカー視点のものであり,青果物流通の実態に即するとともに,卸の視点も加えた類型化の検討が必要である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初予定していた計画にほぼ沿って,調査を実施するとともに,代表者と分担者で研究会を開催し計画と成果を検討した。その結果から青果物取引における取引慣行の導入実態,機能および受容性を明らかにできた。また商学分野における取引慣行類型によって,青果物の取引慣行を類型化できた。ただし,アンケート調査のうち小売企業等に対する調査は,配布方法や回収方法が決定できず実施できなかったため,27年度の早い時期に実施することとし,もし実施が困難な場合はヒアリング調査の対象を増やすことで補完する。

Strategy for Future Research Activity

ヒアリング調査した主要事例を,取引の垂直的調整(取引方法)の形態の軸と,導入されている取引慣行の類型の軸から位置づけ,両者の関係を解明する。その際,必要に応じて追加ヒアリング調査を行う。さらに取引慣行に対する小売企業と産地の両サイドからの評価を加味することにより,垂直的調整(取引方法)の形態と取引慣行の関係の動態的な関係にも接近する。なお,代表者等は垂直的調整(取引方法)の形態が,スポット取引,継続取引,契約取引,(所有)統合へと変化するに従って,用いられる取引慣行の機能は,取引条件の実効性の確保に始まり→販売促進→取引費用の節約→事後的な利益配分へと量的・質的にも高度化していくという仮説をもっている。以上の3年間の研究結果を総括し,取引慣行の産地マーケティングにおける積極的な位置づけの可能性を検討するとともに,他方で産地に対する悪影響を防止・緩和するための社会的規制のあり方を提言する。

Causes of Carryover

代表者担当のアンケート調査については,26年度に農協,農業生産法人,産地集荷業者および小売企業を対象として実施する計画であった。しかし,ヒアリング調査の過程で,小売企業と産地集荷業者に対するアンケート調査は,当初計画通りの実施は困難なことが判明したため,26年度は農協と農業生産法人に絞って実施した。このためアンケートの実施,分析に係る費用が計画より少なくなったこと,および分担者の旅費について日程の関係で調査に全員参加できなかった者があったため,残額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額については,前年度実施できなかった小売企業および産地集荷業者に対するアンケート調査(アンケート実施が困難な場合はヒアリング調査)の実施、およびヒアリング調査の旅費に使用する。27年度分については,当初の計画通り,記憶媒体,印刷用紙,資料整理ファイル等の消耗費,調査および研究会の国内旅費とレンタカー借り上げ,調査協力者への謝金,データ整理の研究補助等に使用する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] JA全農県本部等における営業活動の現状と課題-青果物を対象に-2014

    • Author(s)
      上田賢悦,清野誠喜
    • Journal Title

      農林業問題研究

      Volume: 50(2) Pages: 73-78

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 市場遠隔地に立地する新興産地の営業活動-JAあきた湖東の枝豆を事例に-2014

    • Author(s)
      上田賢悦,清野誠喜
    • Journal Title

      農業経営研究

      Volume: 52(1・2) Pages: 73-78

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] アメリカにおける野菜農場の構造変化-カリフォルニア野菜農場のセンサス分析-2014

    • Author(s)
      佐藤和憲
    • Journal Title

      農業市場研究

      Volume: 85(2) Pages: 55-61

    • Peer Reviewed
  • [Book] 拡張する食品の品質概念と食関連企業の調達行動,佐久間英俊・木立真直編著,流通・都市の理論と動態,所収2015

    • Author(s)
      木立真直
    • Total Pages
      204(121-140)
    • Publisher
      中央大学出版部
  • [Book] 農業におけるビジネスモデルの意義と課題,斎藤修・佐藤和憲編著,フードチェーンと地域再生,所収2014

    • Author(s)
      佐藤和憲
    • Total Pages
      315(89-119)
    • Publisher
      農林統計出版

URL: 

Published: 2016-05-27  

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