2013 Fiscal Year Research-status Report
企業経営型果樹作経営における意思決定支援に関する基礎研究
Project/Area Number |
25450316
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松下 秀介 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50355468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 和博 愛媛県農林水産研究所, 企画調整室, 主任研究員 (70504124)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 企業経営 / 果樹作経営 / 永年性作物 / 意思決定支援 / 経営発展の軌跡 |
Research Abstract |
本研究では,永年生作物の特殊性等のために事業展開が相対的に遅れている果樹作における企業経営を研究対象として,家族経営から企業経営への発展に必要な意思決定支援方策に関する基礎的知見の整理を目的とする. 平成25年度は,分析対象とする企業経営・果樹経営の選定と,すでに調査実績のある企業経営を対象としたデータ収集(アンケート調査,および,経営者との対面調査)を実施した.また,農業経済経営学以外の分野における議論を参考にした企業経営に関する概念整理(一般経営学等,他分野を横断した文献レビュー)を行い,2次データ(統計資料等)の収集・整理による生産状況・市況情報・技術情報等の動向分析とともに,果樹作経営における企業経営の展開を学術的に議論するための立論部分を強化する作業を行った. ところで,果樹作では,すべての管理作業を機械化・施設化することが難しいという労働使用的な技術特性が存在する.よって,一般に,個別の農家が大規模化して市場における高いシェアを得る,あるいは,量販店に対する計画的な大量出荷に成功するなどという行動を観察することは難しい.具体的には,農協共販等の出荷組織によって,機械・施設の共同利用,市場との取引・交渉を含めた集出荷対応,(品種選択等の)生産技術の統一によるブランド形成を行うなど,複数の農家を組織化する場合がほとんどである.よって,野菜作,果樹作の生産構造を議論する場合には,農家数や担い手の賦存状況等による労働力の推移,品種別の作付面積から土地利用の変化等から農家行動を議論するだけでなく,一定の地理的な広がりを基礎とする産地を単位とした生産行動(産地間競争を含む)を議論することも有効である.そこで,単位農協等を単位とした場合の産地としての企業経営発展への支援状況についても,情報収集を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,果樹農業における企業経営の展開について,成功事例,進行事例,あるいは失敗事例から経営意思決定に関する基礎的知見を収集し,追随する家族経営・小規模経営へ行動規範として提供可能な意思決定支援方策策定に資する情報整理を目的とする. さらに,家族経営や地縁的な集団経営等から出発し,企業経営へと発展を遂げた農業経営を対象として,その成長プロセスの事例的解明,企業経営への展開を模索しながらも実現に至っていない農業経営を対象とした制約条件の抽出等,時系列的視点からの情報収集・整理を行うことを予定している. これらの作業を行うためには,各地で活発化している事例に関する情報を事前に収集するなど,実際のヒアリング調査にむけた準備作業が重要となるが,初年度はこれらの作業に集中的に対応することが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においても,継続してデータ収集を進める. 複数年にわたる調査期間を設ける理由は,研究実施期間においても市場価格や生産状況の年次変動が認められると予想されることにより,対象としている企業経営・果樹経営におけるこれらの外部条件変化に対する対応状況(リスク対応等)を経時的に観察し,経営意思決定の特質に関する情報を最大限に引き出すためである.また,これらの2年間におけるデータ収集は,果樹生産の季節性(隔年結果による生産・市況状況の周期的変動)を考慮し,表年・裏年をセットとした中期的な経営意思決定の特質に関する情報を収集するためでもある.また,この年度までに得られた成果の一部については,学会大会等での成果発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外における現地調査について,年度末に計画したものがあったが,すでに実行済みである. 支払が4月になったが,すでに使用済みである.
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Research Products
(2 results)