2014 Fiscal Year Research-status Report
野菜作における作業受託の展開と農業経営に対する効果の解明
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25450320
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
徳田 博美 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (20346000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森江 昌史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 主任研究員 (30355474)
種市 豊 山口大学, 農学部, 准教授 (40640826)
金岡 正樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, その他 (50355260) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農作業受委託 / 野菜作 / 出荷調製 / 生産者の高齢化 / 実需者との直接取引 / 園芸苗流通 / パッケージセンター |
Outline of Annual Research Achievements |
農協などによる農作業受託事業の実態調査を昨年度に引き続き進めた。農作業受託事業の動向として、第一に近年、ほうれん草などの軟柔野菜での取組みが広がるなど、対象品目が広がっていることが指摘できる。第二に、農協が事業主体の場合でも、実際の作業はさらに運送会社などへ外部委託している場合が増えており、重層的な外部化が進行している。第三には、受託作業は出荷調製作業が依然中心であり、育苗・移植や収穫などの圃場管理作業への広がりはあまり進んでいない。 農作業外部化の目的としては、生産者の高齢化などに対応した生産支援と新たな産地形成や拡大の2つに分けられる。高齢者の生産支援を種目とした事業では、最も大きな労働ピークを形成する出荷調製作業の受託に限定されている場合が多く、圃場作業への広がりはあまりみられない。農作業受託を行っても、生産者の高齢化に歯止めはかからず、産地規模が縮小している事例もあり、農作業受託の限界も現れている。ただし、産地規模を維持できるほどではないが、農作業受託を利用した中核的な担い手の形成もみられた。産地の拡大を狙った事業では、農協などによる生産・販売管理がやりやすくなることを活かし、実需者との直接取引や契約販売などの販売戦略につなげている場合が多い。その場合、生産量や品質の安定を図るため、圃場作業での農作業受託など展開している事例もみられた。 地域を越えた農作業受委託の動向を把握するため、全国的に園芸苗を販売している育苗会社の実態調査を行った。育苗産業では、企業の淘汰と集積が進んでおり、全国的に事業を展開する企業が形成されてきており、それにともなって農業用の園芸用の苗の流通も拡大している。さらに種苗会社と連携した事業展開など新たな事業モデルの形成も進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、北海道から南九州までの農協などの農作業受託事業を行っている事業主体11組織と育苗会社1社の実態調査を精力的に実施でき、当初目標としていた調査対象の大部分での実態把握ができ、現在の農作業受託事業の動向と特性を整理できた。今後、これらの調査データを精査し、細くして確認すべき点や新たなに明らかになった課題について、次年度に補足調査を行うことなどで、次年度に研究のとりまとめが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度の調査で残された調査対象での実態調査を進めるとともに、昨年度に調査した組織の補足調査を行う。さらに農作業受託事業が農業経営に及ぼす効果を明らかにするため、農作業を委託している農業生産者、特に農作業受託事業を利用して野菜生産を拡大している農業経営に対する調査を行う。 また、これまでの調査から農作業受託事業は農業生産者の農作業支援という基本的役割を超えて、販売面などでの多様な役割を果たすとともに、様々な関係者との連携が図られている実態が明らかになっている。そこで、今年度は、販売面を中心として、農作業受託事業が果たしている多様な役割やその波及効果、さらにそれを実現するための異分野などとの連携形態を明らかにするため、農作業受託事業の事業主体とともに、それと連携している卸売業者、実需者、生産資材業者や販売面や施設・機械利用などで連携している他地域の農協などに対する実態調査を行う。 今年度は研究最終年度であり、学会ほどで報告し、論文としてまとめていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実態調査が調査対象との日程調整がうまくいかず、当年度に実施できなかったこと、参加予定の学会に都合がつかず、参加できなかったため、旅費の支出が予定額を下回ったこと、調査データの集計・分析のための雇用を予定していたが、雇用者が確保できず、雇用できなかったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度できなかった実態調査を今年度実施するとともに、昨年度の調査によって新たな課題として明らかになった他の組織・業者などとの連携の実態を明らかにするために、連携機関などの調査を実施するための旅費に使用する。さらに研究成果の公表のための旅費、投稿料に使用する。
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Research Products
(4 results)