2013 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータによる原子力発電所事故の食料需要への影響分析
Project/Area Number |
25450323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松田 敏信 鳥取大学, 農学部, 教授 (40301288)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ビッグデータ / 相対価格の不十分な変動 / 需要システム / フレキシビリティ / 積分可能性 / 線形性 / CUUS |
Research Abstract |
本研究の方法論的基礎となる,ビッグデータの分析に適した需要システムの新たな独自モデルを開発した.この独自モデルは,フレキシビリティ,積分可能性,および線形性を満たし,さらに測定単位のスケーリングに関して閉じている(CUUS).これらの性質のうち,フレキシビリティ,積分可能性,およびCUUSは,需要システムの理論上望ましい性質である.また,ビッグデータは非線形モデルでは事実上推定不可能であり,線形性は実用上必須の性質である. ビッグデータとは"従来の方法では分析が困難なデータ"であり,ビッグデータであるかどうかは,単に標本の大きさだけでなく,変数の数や分析方法に大きく依存する.近年,消費者需要分析においても,ビッグデータといえる大標本のミクロデータが利用可能になってきている. 消費者需要に関するミクロデータには,支出の変動に対して相対価格の変動が極端に少ないという特徴がある.例えば,食料,衣類,...といった大きな分類においては,こうした相対価格の不十分な変動への対応が既存研究において提案・検討されている(Lewbel, 1989; Hoderlein and Mihaleva, 2008).しかし,例えば,生鮮牛肉,生鮮豚肉,...といった(これ以上分割できない)品目分類において,相対価格の不十分な変動に対処する方法は知られていない. 本研究で新たに開発した独自モデルは,この問題を解決する.具体的には,標本サイズ100万超のミクロデータにおいて,最もスタンダードなモデルであるLA/AIDS (Deaton and Muellbauer, 1980)では価格弾力性の推定値が不安定で,また代替的な線型モデルであるNTLOG (Lewbel and Ng, 2005)では強烈な多重共線性のために推定不可能だったが,独自モデルでは安定した妥当な値の推定結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の方法論的基礎となる,ビッグデータの分析に適した需要システムの新たな独自モデルを開発できた点で,当初の計画以上に進展しているといえる.当初は,既存モデルの改良により対応する計画であった.しかし平成25年度の研究において,ビッグデータを扱う上で既存モデルが抱えていた問題点を根本的に解決する独自モデルを開発することに成功した.(詳細は「研究実績の概要」を参照.)
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,「家計調査」の個票データを更新・拡充した上で,独自モデルの有効性の検証を深めるとともに,実証分析を進める.
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Research Products
(1 results)