2015 Fiscal Year Research-status Report
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25450324
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横溝 功 岡山大学, その他の研究科, 教授 (00174863)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 畜産特別資金 / 固定化負債 / 支援協議会 / 最適営農類型 / 人材育成 / 人材活用 / 投資の回収 / 資金繰り |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も、JAゆうべつ町を訪問して、4戸の酪農経営の定点観測を実施した。その際、昨年度と同じく経営毎にレジメを提示し、その内容について誤りの有無を確かめた。また、経営毎に、現在の資源、交易条件の下で、最適営農類型を策定した。これらの情報提供を行った上で、最新の経営技術、および財務のデータを入手した。一昨年度、4戸の経営を、①経営指導を受け入れ、家畜飼養技術の改善によって、収支を改善した2事例、②農地の移転を契機に大規模化に成功し、法人化した1事例、③放牧の導入によって活路を求める1事例の3タイプに分けた。今年度は、主として①の事例を下に、社会・経済システム学会で発表を行った。 なお、JAゆうべつ町の調査では、北海道の支援協議会のメンバーである、北海道酪農畜産協会・JA北海道中央会による甚大な協力を受けた。 今年度、昨年度と同じく、群馬県において、法人経営である1戸の養豚経営の定点観測を実施した。①経営概況、②経営管理、③経営再建への努力についてヒアリング調査を実施した。特に、固定化負債発生のメカニズムと、人材育成や人材の活用について調査を実施し、前者では、飼料費の変動リスクやPED等の病気のリスクが大きいことを明らかにした。後者では、福利厚生、人材確保の方法、研修の実施、職場での異動、インセンティブやモチベーションを高める方法等についてヒアリング調査を実施した。 さらに、今年度は、六次産業化に取り組み、家畜飼養頭羽数を削減して、経営展開している酪農、養豚、採卵鶏の3戸の調査も実施した。特に、長期的には、六次産業化への多額の投資の回収、短期的には資金繰りに焦点を当てて、固定化負債を回避できたメカニズムについてヒアリング調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
北海道酪農畜産協会・JA北海道中央会における甚大な協力で、JAゆうべつ町管内での定点観測が可能となった。また、六次産業に取り組む先進事例において、投資や資金繰りの視点から、固定化負債を回避するメカニズムを学ぶことができた。畜種は、北海道の酪農経営の4事例、群馬県の養豚経営の1事例、六次産業化による財務の改善では、県の酪農経営1事例、養豚経営1事例、採卵鶏経営1事例を選定することができ、詳細な経営調査も実施できた。 北海道の酪農経営における固定化負債脱却のメカニズムでは、数量的ならびに質的に深めることができ、学会での発表が可能となった。 しかし、その他の事例では、固定化負債脱却のメカニズムについて、一般化させることが難しかった。それ故、次年度は、群馬県の養豚経営から教訓を導出できるような理論化を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
北海道では、過去3年間のデータを下に、4戸の酪農経営およびJAゆうべつ町のスタッフに対して報告会を実施する。また、固定化負債脱却のメカニズムのマニュアル化を目指して、粗稿を作成し、これに関しても報告会で提示して、忌憚のない意見を聴取する。 また、4戸の酪農経営のうち、3戸がJAゆうべつ町管内のTMRセンターを活用していた。昨年度、一昨年度に加えて、TMRセンターの経営、事業、組織面から調査を本格的に実施し、経営展開のメカニズムを明らかにする。 また、群馬県の調査では、1戸の養豚経営の調査を継続して実施する。さらに、法人経営における固定化負債脱却のメカニズムについても、マニュアル化を目指して、粗稿を作成し、法人経営のトップに対して報告する。 さらに、今年の秋に開催される、日本農業経営学会、社会・経済システム学会大会、地域農林経済学会のいずれかの学会での個別報告を目指している。 北海道と群馬県での報告会、現地調査が中心となり、そのための旅費が主な研究費になる。さらに、今年の秋に、日本農業経営学会、社会・経済システム学会大会、地域農林経済学会のいずれかの学会での個別報告を目指しており、当該旅費も必要となる。 なお、平成27年度に、社会・経済システム学会大会に個別報告論文への投稿も行った、採択が決定し、投稿料が発生するのは平成28年度になるので、当該経費は平成28年度に計上する。
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Causes of Carryover |
平成27年度中に、学会誌の掲載が無く、投稿料や抜き刷り代の執行が無かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は、学会誌の掲載や報告集(マニュアル)の印刷を目指している。
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Research Products
(1 results)