2015 Fiscal Year Annual Research Report
経済統合・貿易自由化と農業発展:農業生産性と農産物価格の収束
Project/Area Number |
25450337
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
弦間 正彦 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90231729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農業生産性 / 農産物価格 / 収束 / 経済統合 / 貿易自由化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東南アジアと中東欧諸国の体制移行国に焦点を絞り、持続可能な農業発展のために必要となる生産性、生産効率性の変化・違いの決定要因を比較分析・理解し、その結果をもとに政策分析を行い、この地域の移行経済が持続可能な経済成長を遂げるための政策や制度に関する包括的な政策的含意の導入を図ることを目的として実施された。 具体的には、経済の改革解放への政策転換後、ことにASEANやWTOへの加盟がもたらした、生産性(TFP)の変化の違いを農業部門について検証した。ベトナムにおいては、ドイモイ政策の導入以降、1995年のASEANへの加盟や2007年のWTOへの加盟を機会に、TFPの改善が観察された。TFPの上昇は、2008年の経済危機以降も続いて推移している。ラオスにおいては、ASEANに加盟した1997年を境に、TFPは4年間ほど継続して上昇し、その後も下がることはなく上昇のトレンドを保っていることが確認できた。さらに、その結果を中東欧諸国の結果と比較し、より一般化した形の政策的含意の導入を図った。 中東欧の主要な体制移行国においては、体制転換に伴う経済の低迷が回復に転じた1995年から2004年のEU加盟までの期間においては、農業部門はEU15を上回るペースで生産性の改善を見せた。そして、2004年以降の中東欧の主要な体制移行国のTFPの動きは大きな振幅を持って推移してきている。アジアと体制移行国との違いは、EUのCAPにおける農村開発の政策的な重視であり、持続可能な農業発展のためにも、農業部門のTFPを改善させる方策の並行した実施が必要視されることが確認できた。
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Research Products
(7 results)