2014 Fiscal Year Research-status Report
集落営農のコミュニティ・ビジネスに関する組織論的研究
Project/Area Number |
25450338
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 明広 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター農業経営研究領域, 上席研究員 (20355465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 珠里 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (30355466)
伊庭 治彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70303873)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 集落営農 / コミュニティ・ビジネス |
Outline of Annual Research Achievements |
集落営農において集落の枠を越えた地域の高齢者に対する配食サービス等のコミュニティ・ビジネスを行うケースが増えている。これは4類型の混合型タイプに該当する。これら事業の実施に向けては、コスト削減のための原料を自給に向けた野菜生産等の多角化が必要となるが、近年の高齢化を背景に雇用者を導入した集落営農では経営の効率性を強く重視するため、農業生産面において女性等の組織参加が減少し、その組織貢献意欲が低下する問題が生じている。そこで、集落営農において野菜導入する際は、効率性を重視する一方で、女性等の参加機会を考慮した作業分担方式を採用することで、それらの組織参加の場を提供することが重要であることを事例調査を通じて確認した。また、配食サービス等のコミュニティビジネスを実施している事例を調査分析し、そこでは、野菜導入等の水平的多角化(原料の安定確保と原料コストの削減)を実施し、次いで、地域の廃業した豆腐店の事業を継承し地場産大豆を用いた垂直的多角化(施設整備と加工品製造や調理ノウハウの蓄積)、そして、農業に加えて既存の地域にある経営資源(女性の調理のノウハウ等)を有機的に結びつける斜行的多角化(配食サービスの実施)という段階を経ることで、コミュニティ・ビジネスが構築できていることを確認した。また、斜行的多角化は、地域の多様な人的ネットワーク構築の場ともなっており、事業継続の基礎となっていた。併せて、米国カリフォルニア州において、教育ファーム等のコミュニティ・ビジネスを実施している農場を調査しその活動実態を確認すると共に、そうした農場への金銭的支援を行っているNPOや生活協同組合を調査し、地域住民の寄付等の協力による農場支援の取り組みや背景について調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査では、新しい事例を調査・分析しつつ、学会誌に論文を発表した。また、昨年度相手先の事情のために実施できなかった海外調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、研究の最終年であることから、集落営農におけるコミュニティ・ビジネスの実施に向けた理論的整理を行うと共に、組織モデルの検討を行う。また、海外調査では、コミュニティ・ビジネスを行う農場を支援するNPO等の先進事例の役割や機能を確認する必要があることから、欧米、特に、欧州では、英国に加えて欧州のいくつかの国における農村事業に関する文献あるいは実態調査から情報を得ることが研究上有効である。
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Causes of Carryover |
平成25年度の調査を26年度に延期した結果、25年度の調査を踏まえて補足調査する予定であった26年度の調査を27年度に再延期したため残額が発生した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額1,350,865円は、海外調査等に使用し、次年度に請求する金額と併せて、研究計画遂行のために使用する
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