2013 Fiscal Year Research-status Report
開発途上国農村における農業新技術の導入・普及過程に関する研究
Project/Area Number |
25450343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 浩敬 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任准教授 (50451901)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農業生産技術普及 / 貧困緩和 / ルワンダ共和国 |
Research Abstract |
本研究は、インドネシア共和国・西ジャワ・インドラマユおよびルワンダ共和国・東部県・ルカラを対象に、農家による新品種を含む新しい農業技術の導入要因について、a)リスク回避度、b)信用制約、c)社会的学習の三点が主要因であるとの仮説を設定し定量的に分析・検証するとともに、農村コミュニティ内の農業生産技術に関する情報伝達の構造を社会ネットワーク分析の理論・手法を用いて明らかにし、それらを踏まえ、農業生産技術の効果的な導入・普及戦略の実際のフィールド(ルワンダ共和国)への適用を試みることを目的とする。本年度(平成25年度)は、調査票の設計と両地域における農家調査を実施することとしていいた。 以上に基づき、本年度は、調査票設計のために現地の実情を把握することを目的に、研究対象地域であるルワンダ共和国・東部県・ルカラにて事前調査を実施した。それらに基づき調査票を設計した。さらに公表されている統計データの収集を行い、同国の貧困や農業生産の概要を明らかにした。特に、開発途上国一般にみられるように、農業生産と家計が密接に結びついており、貧困緩和の観点から農業生産の重要性が明らかになるとともに、貧困の状況を把握することが必要であるとの認識に至り、同国による公表データおよびDHS((Demographic Health Survey;人口保健調査)を利用し、データの整理・分析を行った。また同国の特徴として、「千の丘の国」と呼ばれるほどの丘陵地帯であり、農業生産や貧困の状況も大きく異なることから、当初計画していた同国・県・ルカラに加え、ムイリ地域も調査対象として加えることとした。同地域における概要調査も実施済みである。以上により、当初調査対象としていたルカラの農業生産、貧困の状況に関する同国の位置づけを明確にすることができた。次年度は、本年度の成果に基づき、特に設計した調査票を用いた調査を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画として、本年度(平成25年度)は、調査票の設計と、インドネシア共和国・西ジャワ・インドラマユおよびルワンダ共和国・東部県・ルカラ両地域における農家調査を実施することとしていた。本年度は、調査票の設計と、そのための概要調査をルワンダ共和国・東部県・ルカラにて実施した。当初計画に比して、インドネシア共和国・西ジャワ・インドラマユでの調査を実施できていないこと、および調査票を用いた調査を実施できていない点で調査計画を達成できていない。しかし、ルワンダ共和国・東部県・ルカラ地域での概要調査により、比較対象地域としてムイリ地域を新たに設定したこと、および同概要調査に加え、DHSデータ等の公表データを使用した家計の貧困の状況と農業生産との関係を分析することで、ルカラ、ムイリ両地域の家計や農業生産の概況を明確にすることができた。これにより次年度以降の調査票を用いた調査およびそれに基づく、実際のフィールド(ルワンダ共和国)への適用戦略の構築をより効果的に実施することが可能となると考えられる。 以上より、研究を進めるうえで調査対象地を加える必要性を認識したことによる調査対象地の追加と、公表データを利用した分析を実施するなど、当初計画より変更はあったものの、研究目的に沿った研究は実施されており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」および「今後の研究の推進方策」で述べたように、本年度(平成25年度)は当初計画していたインドネシア共和国・西ジャワ・インドラマユおよびルワンダ共和国・東部県・ルカラ地域のうち後者のみを対象とした。またその過程を通じて、新たな対象地として同国同県のムイリ地域を新たな対象と加えることが適切であると考え、両地域において概要調査を実施した。さらに当初予定していなかった同国による公表データおよびDHS((Demographic Health Survey;人口保健調査)を利用した分析を実施した。 以上の研究計画の変更があったが、これらに基づき引き続き、本研究を推進していく。次年度は、本年度構築した調査票を用いた調査を実施する予定である。現在のとこと本研究を推進するうえでの大きな課題はないと考える。
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