2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本の水産技術協力プロジェクトの形成・実施過程の特徴と地域漁業
Project/Area Number |
25450345
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山尾 政博 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 沿岸域資源管理 / クラスター・アプローチ / 淡水養殖普及 / 種苗生産農家 / 漁村振興 / 水産振興 / 課題別指針 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、第1に、岸域資源管理組織に関わる分野での技術協力の成果を確認し、第2、貧困農村地帯における淡水養殖プロジェクトの成果と問題点を検証した。第3に、日本の水産分野の技術協力のここ10年の動きを明らかにし、今後の方向性について検討した。 沿岸域資源管理の分野では、国際協力機構(JICA)がフィリピンのイロイロ州で実施したプロジェクトの効果について調査した。プロジェクト終了後も、住民は引き続き資源を持続的に利用する努力を続けていた。技術移転の成果が十分に認められた。ただ、狭いコミュニティーにこだわった技術協力だったため、広域資源管理組織を維持するという点で弱点を残した。資源管理組織の機能性と効率性を重視してもよかった。 貧困農村地帯における内水面養殖の普及は新たな段階に入った。種苗生産技術を核にした農民間普及システムは貧困削減や栄養改善には十分に役立った。今後は、自家消費を目的にした零細養殖普及から、ある程度の規模と経済性をもった商業的な養殖業を発展させる必要がある。アジアでは淡水養殖業をめぐる国際競争が激しさを増しており、持続的な養殖業を振興して農村経済の活性化に結び付けるかが問われている。養殖業の生産工程管理やGAP(Good Aquaculture Practice)などへの対応が求められる。 第3の課題については、JICAの「水産分野課題別指針」の課題別支援委員会に参加して、研究成果に基づいて意見を披歴した。日本の強みを活かして技術協力することは大切だが、まずは開発途上国が受け入れやすい技術にすること、グローバル・スタンダードな内容にすることが大切である。衰退途上にある日本水産業から、優れた技術を身に着けた専門家を排出することはもはや難しい。日本よりもはるかに優れた技術と人材を備える東南アジア諸国の機関や人材と協力した、ネットワークによる国際協力が求められている。
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Research Products
(21 results)