2013 Fiscal Year Research-status Report
北海道農村におけるへき地医療の現局面と生活支援策の解明-栄養士活動を軸に-
Project/Area Number |
25450347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
佐藤 信 北海学園大学, 経済学部, 教授 (60269173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 のぞみ 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (80289678)
岡部 哲子 天使大学, 看護栄養学部, 講師 (60320561)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 北海道 / へき地 / 診療所 / 栄養士 / 農村社会 |
Research Abstract |
本年度は、北海道内へき地診療所へのアンケート調査結果分析およびその成果報告、次年度以降の実態調査先の検討が中心となった。アンケート調査は、平成24年12月に北海道内の有床診療所(485か所)に質問票を送り152か所から回答を得ていた(回収率31%)ため、その結果分析を行った。アンケート項目は、診療科目、栄養管理実施加算、食事提供の方法、栄養士の雇用形態、平成26年度以降の管理栄養士の雇用計画等である。 回答数を14の振興局ごとにみると、石狩振興局が52(196の有床診療所のうち26.5%の回答率)、次いで上川振興局が28(56の有床診療所のう50%の回答率)と高かったが、ゼロ回答数の振興局(檜山、根室)もあり偏りがみられた。これは、もともと有床診療所数に地域差が存在するからでもあり、今後の実態分析の必要性を示唆するものである。 管理栄養士の配置状況は集計可能な118か所のうち、全体の約56.8%が管理栄養士ないし栄養士を配置していた(前者は42か所、約35.6%、後者は25か所、約21.2%)。残る51か所(43.2%)は未配置、平成26年度以後の管理栄養士の配置を検討している回答者も半数近く(52か所、44.0%)あった。 これらの調査分析を通して明らかとなったのは以下の諸点である。第一に道内有床診療所の配置および栄養士勤務状況は振興局ごとに大きな差異があり、管理栄養士配置対策も地域の実情を踏まえた対応が必要である。第二に診療報酬改定を受けて管理栄養士の平成26年3月末までの配置が義務化されたが、平成25年1月現在では「検討中」が多く、自由記述欄にあっては、廃院も含めた対応を余儀なくされるとの声もあり、現場では多くの混乱が生じているようである。 調査結果は学会報告を行ったが、次年度は地域医療の先進地調査を通して、北海道農山村のかかる諸課題を明らかにしようと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題の緊急性もありアンケート調査分析を科研採択年度の当初から進めることができた。これは研究分担者が各役割を認識し、積極的に研究活動を進めたとともに、研究代表者の所属機関がアンケート調査の発送・回収に協力し、前年度末に回収がほぼ終了できたためである。分析結果は、栄養改善学会(9月)などで報告したとともに、論文化し投稿・査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は北海道内の有床診療所の事例分析を申請当初は検討していたが、同時に先進地における「地域医療」の実態を学ぶことが必要ではないかと考えている。 また、診療報酬改定に伴う有床診療所への管理栄養士配置義務化は回避されたため、この点を研究の最優先課題とする必要性は薄まった。ただし、北海道農村における病院給食経営管理の側面からみると、栄養士の派遣化の動きは不断に進行している。農村地域における栄養士職の存在は希薄化しつつあるともいえる。農村地域のこうした傾向は地域住民の健康づくりにおいてどのような影響を及ぼすのか。 こうした課題解明のために、今後の研究にあっては、第一に、地域医療の先進地である長野県を対象として健康づくりの実態と栄養士活動の意義を明らかにすることと、第二に、農村の病院・診療所における給食経営管理の特質といった点を重視して研究をすすめてゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行にあたって、本年度の計画がほぼ終了したため若干の残額が生じた。 翌年度の物品費の一部として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)