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2013 Fiscal Year Research-status Report

朝鮮の農業自営者養成にみる農本主義教育の「外地」的展開

Research Project

Project/Area Number 25450351
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKumamoto Gakuen University

Principal Investigator

土井 浩嗣  熊本学園大学, 外国語学部, 講師 (50522398)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords農業教育 / 農業史 / 教育史 / 朝鮮史 / 韓国 / 朝鮮 / 植民地
Research Abstract

本研究計画の初年度に当たる平成25年度は、大きく分けて次の二つの研究活動を遂行した。
まず第一に、本研究の目的である植民地統治下の朝鮮における朝鮮人農業自営者養成のうち、併合前後期から1910年代の状況について、普通学校(日本の尋常小学校に該当)の農業科を素材として整理・考察を行った。統治初期のこの時期、日本「内地」の農本主義教育の影響は、まだ「外地」朝鮮にはほとんど見られないが、本研究計画の中核となる20年代中盤~30年代を的確に把握するためには、それ以前の実態を解明しておくことは不可欠であると考えた。
具体的には、収集済み資料の内容分析に加えて、『朝鮮総督府官報』を丹念に調査し、各種統計類や訓令など新たな資料を発見・収集した。その研究成果として、9月28日に朝鮮史研究会関西部会2013年9月例会で「植民地期朝鮮の公立普通学校における農業科と勧農政策―1910年代を中心に―」という学会発表を行った。その後、学会発表での討論内容を踏まえて資料の追加調査や論述の再考を行い、最終的に3月末に学内紀要『文学・言語学論集』に論文として投稿した(平成26年7月発行予定)。
第二として、1920年代以降の農業自営者養成の状況を考察するために必要な資料の調査・収集を地道に進めた。韓国・ソウル市の国立国会図書館や国立中央図書館では、地方レベルを中心とした農業教育関係の未見資料を入手できた。また、原本状態が極めて悪く、かつ分散して所蔵されている雑誌『朝鮮教育』『朝鮮教育時報』についてほぼ全号の調査を終えることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成25年度の研究計画として、併合前後期から1910年代における朝鮮人農業自営者養成の一端を明らかにすることを目標とした。当初は前回の科研費・若手研究(B)(2009~2011年度)で調査・収集した『朝鮮農会報』、『朝鮮教育会雑誌』→『朝鮮教育研究会雑誌』、『朝鮮総督府月報』→『朝鮮彙報』を軸に検討する予定であった。しかし、調査の過程で『朝鮮総督府官報』に本研究に関連する各種統計類や地方レベルの訓令などが収録されていることが判明したため、新たに調査対象資料に追加することにした。そのため学会発表や論文投稿の時期が若干遅くなる結果となったが、内容面ではむしろ一層実証的かつ説得力のあるものになったと考えている。
資料の調査・収集については、『朝鮮総督府官報』の調査を優先させた関係で、計画していた『文教の朝鮮』1928年以降の調査に取りかかることができなかった。ただし、勤務校の図書費を活用して『文教の朝鮮』〔復刻版〕を購入できたことから、次年度以降作業の速度を上げることが可能となり、計画の遅延は最小限にとどまると判断した。
これ以外では、韓国での資料調査や『朝鮮教育』『朝鮮教育時報』の調査などは着実に実施できており、本研究計画全体として見た場合、おおむね順調に進展しているものと認識している。

Strategy for Future Research Activity

計画初年度である平成25年度の研究実績を受けて、次年度は当初の研究計画に若干の変更を加えつつ、着実に研究成果を積み上げていきたいと考えている。
まず調査対象資料に『朝鮮総督府官報』を加える。当該資料には、これまで利用してきた雑誌資料にはない各種統計類や地方レベルの訓令・通牒が多数収録されている。また、『朝鮮総督府官報』を原本としてその他の農業・教育関係雑誌に転載されるケースが多いことから、非常に重要な資料であるといえる。
次に、『朝鮮農会報』『文教の朝鮮』『朝鮮』の調査を並行して進めるが、『朝鮮総督府官報』を追加調査するために、次年度は当初計画より調査範囲を縮小して1938年分まで調査することに変更する。ちなみに1939年以降は戦時体制の深刻化にともない資料の絶対量が減少していく時期であることから、最終年度(3年目)に調査を繰り下げても影響は少ないと思われる。
最後に、研究成果の取りまとめに関して、次年度は朝鮮の農業教育が停滞したと通説的にいわれる1920年代前半の実態を丁寧に掘り起こすと同時に、農本主義教育の影響が「外地」朝鮮に本格的に波及しはじめる20年代後半について考察を進め、本研究全体を貫く基本的な枠組みを構築できるように努力していく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度(1年目)は、研究計画の進捗にともなって当初の想定よりも国内、特に九州内での資料調査が比較的多くなり、その結果次年度使用額が生じる結果となった。
具体的には、早期の研究成果取りまとめのため『朝鮮総督府官報』の調査を優先させたこと、勤務校の日常業務と並行して効率的に作業を進めるため日帰り可能な九州大学附属図書館を極力活用したことが主な理由である。
次年度(平成26年度)は、本研究の主要な内容となる1920年代~30年代に調査対象時期が移ってくることから、今年度と比較してより広範囲にわたる資料調査や文献収集(購入)が必要になってくると考えられる。そこで、次年度に繰り越した分も含めた助成金は、関東方面や韓国で調査を行うための旅費や日本・朝鮮の農業教育関係の資料収集・購入のための物品費を中心として有効に使用していく計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 植民地期朝鮮の公立普通学校における農業科と勧農政策―1910年代を中心に―

    • Author(s)
      土井浩嗣
    • Organizer
      朝鮮史研究会関西部会2013年9月例会・朝鮮史研究会
    • Place of Presentation
      中津センタービル(大阪市)

URL: 

Published: 2015-05-28  

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