2015 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮の農業自営者養成にみる農本主義教育の「外地」的展開
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25450351
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
土井 浩嗣 熊本学園大学, 外国語学部, 准教授 (50522398)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農業教育 / 農業史 / 教育史 / 朝鮮史 / 韓国 / 朝鮮 / 植民地 / 人材養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の最終年度(3年目)に当たる平成27年度は、昨年度までに(1)農業・教育関係雑誌や『朝鮮総督府官報』などの調査が終了したこと、(2)日韓両国で卒業生指導制度や実業補習学校などに関する新たな一次資料を発掘・収集できたことを受けて、朝鮮人農業自営者養成の展開過程を組み上げていく年となった。その結果、3年間の研究計画全体では、おおむね順調に研究活動を進めることができ、所期の研究目的を十分に究明することができたと評価できる。 なお、平成27年度の研究活動は、主に以下の二つである。 まず第一に、1932年以降の農村振興運動下での農業自営者養成の実態を、20年代からの連続性を踏まえて解明できたことである。検討過程で不足した資料については、国立国会図書館や東京大学、京都大学、筑波大学、九州大学各図書館を訪問し、追加調査を実施した。 第二に、植民地統治全体での朝鮮人農業自営者養成の展開過程について、他の研究者との議論を深めるために、関西農業史研究会第344回例会(2015年11月14日)での「植民地朝鮮における勧農政策の形成―日露戦争後から世界恐慌まで―」、および朝鮮史研究会関西部会2016年1月例会(2016年1月23日)での「植民地朝鮮における卒業生指導制度と農政「担い手」育成―植民地農政の確立と関連して―」という学会発表を行った。今後その成果を個別論文として発表すると同時に、最終的には計画全体の成果を単著の形で出版することを予定している。 最後に、本研究計画の遂行により、(1)畑作優位地帯としての朝鮮農業の視点から植民地農政を再検討すること、(2)農業技術の普及重視から実践を重視した「人」の育成へ、という農政「担い手」育成の理念変化を解明すること、などが新たな課題として浮かび上がった。以上の課題については、今後資料状況などを検討した上でさらに追究していきたいと考えている。
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