2014 Fiscal Year Research-status Report
高温物理消毒が地表面土壌の構造および物質移動特性に与える影響
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25450355
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 広隆 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70447514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向後 雄二 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30414452)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 土壌消毒 / 土壌構造 / 土中水・熱同時移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,国内外で注目されている熱水土壌消毒について,熱水が団粒構造の発達した土壌の物理性へ与える影響を調べた.本年度は,熱水処理前後の土壌の物理性,特に団粒の安定性を比較することで,土壌構造の変化を定量的に把握することを目的として室内実験を実施し,団粒は構造は,95 ℃の熱水散布時において散布量が増加するとともにその安定性は減少し,それに伴い透水性が減少することが分かった. 本年度は,さらに土壌の総合的な物理性を診断するための手法の開発も行った.土壌物理性は団粒の安定性のように一つの指標だけで評価できるものではなく,そのほかにも透水性や排水性も取りいれた,総合的な評価指標が不可欠である.そこで,火山灰由来のロームからなる圃場(長野県富士見町)から土壌試料を採取し,物理性を指標とした土壌評価手法の開発を行った.土壌評価に当たり,まず,土壌の物理的肥沃度に関係の強い物性値を中心に調査を実施した.その後、作付け地に適しているか否かを基準にしたスコアを算出するためのスコアグラフを作成し,測定結果をスコアグラフに当てはめることで,各調査農地の物性値のスコアを決定する.最後に、調査農地ごとに全ての項目のスコアから土壌の物理性の総合的な評価を実施するため,レーダーチャートを用いることを提案した.レーダーチャートを用いることで,隣接する項目間の関係性を考慮した複合的な総合評価が可能となる.このように開発した評価方法を用いることで,熱水処理が土壌の物理性に与える影響を一つの評価指標だけでなく,総合的に評価することが可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現場での熱水移動実験については,対象とする実験圃場での準備が若干遅れており,主たる実験については今年度実施予定であるが,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果より,高温の熱水散布が土壌の物理性へ与える影響要因として,①散水量,②散布する熱水の温度が挙げられる.そこで本年度は,まず土壌団粒安定性の温度依存性を明らかにする.任意の温度に設定できる恒温水槽を用いて土壌を加温し,加温後の土壌団粒の安定性を調べる.また,任意の温度に設定した恒温水槽中で水中ふるい分けを行うことで,規定の温度における土壌団粒の安定性についての評価を行う.
さらには,圃場での現場実験を実施する.均一に土壌が充填されたカラムと異なる不均一な圃場では,選択流などが起こり得る.そこで不均一である圃場においての熱水の移動をモニタリングすることで,現場における熱水の移動特性,つまり水分・熱の移動特性が得られる.実験前には,地中に熱電対や土壌水分計を深さ70 cm程度まで設置し,熱水の移動をモニタリングする.また,実験前後の攪乱土壌および不攪乱土壌採取し,透水性などの物理性および硝酸態窒素などの化学性の変化について調べる予定である.
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Causes of Carryover |
予定していた現場実験の一部を,H27年度に実施することとしたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現場実験を研究計画に合わせて実施する.
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Research Products
(4 results)