2014 Fiscal Year Research-status Report
乾燥地・半乾燥地に展開する農地の持続的利用のための除塩・防塩システムの構築
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25450359
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
猪迫 耕二 鳥取大学, 農学部, 教授 (60243383)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リーチング / 塩類集積 / 浸潤 / 溶質移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
7×50×50㎝の土槽を作成し,低透水性土壌のみを充填したコントロール実験と透水性の高い資材を充填した部分(排水トンネル,DT)を有する排水トンネル実験,DTと粗粒素材による土層(キャピラリーバリア層,CB)とを併設する併設実験,の3通りについて浸透実験を行った.低透水性土壌には軽埴土を用いた.DTには砂土と籾殻を,CBには粒径5mmのガラスビーズを使用した.4時間毎に15分間57mm/hの強度で灌水し,2日間継続した.CBには1/50の勾配を与え,CBによって捕捉された浸透水がDTに誘導される構造にした. 実験の結果,DTとCBを併設した場合が最も早く最下層まで浸透水が到達した.DT単独利用の場合は,DTが毛管障壁として機能し,浸透水がDTを迂回して流下することが明らかとなった.この傾向はHYDRUS-2D/3Dによる数値実験でも再現されており,浸透水を集水してDT上部の境界部をいち早く湿潤状態にすることが低透水性土壌の浸透促進には不可欠であることが確かめられた. また,CBによる毛管上昇遮断機能の評価を地下水位の高い鳥取大学附属農場の水田土壌に建設したビニルハウス内のパイロットプラントで実施した.ビニルハウス内に2.4×3.6mの試験区を設け,土壌水分,蒸発量,温湿度,地下水位の測定を行った.その結果,CBのない対照区では毛管上昇によって作土層が過湿状態で推移したのに対し,CBのある区画では適度な水分状態が維持された.このことはDTとCBの併設によって毛管上昇をある程度遮断しうることを示唆している. これらの結果から,DTとCBを併設する本法は低透水性土壌におけるリーチングを促進する一つの方法となりうることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の遅れを挽回できた.スケールアップしたハウス実験も開始しており,概ね順調なペースに戻ったといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度の遅れを取り戻すことに集中していたため,成果発表が当初予定よりやや遅れた.次年度は実験を継続するとともに積極的に成果発表を進めていく.また,防塩機能の評価について模型実験,数値実験,パイロット実験を同時に進行させ,結果をお互いにフィードバックさせていく.
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Causes of Carryover |
実験用品で当初予定額よりも安く納品されたものがあったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用消耗品の購入に充てる.
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Research Products
(3 results)