2015 Fiscal Year Annual Research Report
中国・黄土高原における天水農地の塩類集積とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
25450360
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
清水 克之 鳥取大学, 農学部, 准教授 (10414476)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 塩類集積 / チェックダム / 半乾燥地 / 天水農地 / 地下水位 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国黄土高原におけるチェックダム農地における塩類集積の実態およびそのメカニズムの解明に取り組んだ。具体的には,塩類集積が発生している特定のダム農地を対象に集中的な観測と並行して,同流域内にある多数のチェックダム農地においても塩類集積実態調査を行い,発生要因の特定とメカニズムの解明を目指した。成果は以下のように要約される。 1.塩類集積が広範に発生するダム農地において地下水位の時間・空間的な変動の把握のために地下水位の連続観測を行った。その結果,塩類集積農地では,塩類集積が発生していない農地よりも地下水位が年間を通して高く維持されることが確認された。 2.土性については,10数cm程度よりも小さい土層間隔で粒度分布が変化し,このことが農地の土壌水分状態に大きく影響することが示唆された。 3.既往の研究では,堤体から上流1.6km地点の流入排水路より上流側で塩害が確認されており,その要因は冬季の土壌凍結による地下水位の上昇であることが指摘された。しかし,塩害が流入排水路より400m下流に進行していることが確認された。要因として排水路の水位上昇による農地の地下水位上昇が考えられる。調査の結果,排水路水位がもともと農地よりも高く,排水路からの浸透により農地の地下水位が上昇しており,その結果,塩害が下流へ進行したと考えられる。 4.同一流域内のチェックダムとその農地を対象にした塩害実態調査として土壌および排水のEC調査を行った。対象流域内のチェックダム農地において塩類集積の発生場所はダム農地により異なることが示された。また,いずれのチェックダム農地においても排水のECが約2dS/mと高く,チェックダム農地の造成過程において,上流からの流出土砂に含まれる塩類が水の蒸発過程で濃縮されていることが示唆された。ダムの高さと地形勾配が土砂の堆積厚さに影響し,それが地下水位を規定すると考えられる。
|