2015 Fiscal Year Annual Research Report
マルチトレーサー法による農地土壌の塩性化・脱塩性化プロセスの解明
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25450363
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
久米 崇 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80390714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
治多 伸介 愛媛大学, 農学部, 教授 (60218659)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 塩類化 / 農業排水 / 安定同位体 / 灌漑 / 土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象地域であるトルコ共和国アダナ県にて現地調査を行った.その際に,同時に現地カウンターパートと研究打合せも行った.本年度も,過年度同様に灌漑水および排水のサンプリングを行った.加えて,上流から下流に向けて5箇所(A, B, C, D, E点)で土壌サンプリングを行った.土壌サンプリングは,深さ0-5cm, 5-30cm, 30-60cm, 60-90cmの4深度に対して行い,5箇所×4深度=20サンプルを取得した.取得した土壌サンプルを用いて,水抽出液および酢酸抽出液に含まれる微量元素およびストロンチウム安定同位体比(以下,同位体比)の分析を行った. 分析の結果,A点の4深度における水抽出の同位体比の平均値は0.70856‰,B点以下はそれぞれ,0.70842‰,0.70835‰,0.70842‰,0.70855‰であった.一方,酢酸抽出物における同位体比はA点から順に,0.70853‰,0.70843‰,0.70833‰,0.70851‰,0.70852‰であった.相関分析の結果,水抽出と酢酸抽出の同位体比の間には正の相関(R^2=0.66)が見られた.したがって,土壌中における水溶性イオンと交換性イオンは,農地にインプットされた起源の物質によって同様の吸脱着が進みつつあるといえよう.さらに,サンプリング箇所における営農履歴と同位体比について考察すると次の点が明らかになった.それは,灌漑農地においては,上流から下流に移動するに従って,同位体比が小さくなっていくということである.これは,灌漑水および肥料分に含まれる物質の同位体比に影響を受けていると考えられる.水抽出による溶液中におけるストロンチウム濃度は,上流から下流にいくに従って小さくなっていく傾向を示した.一方で,酢酸抽出による溶液中に含まれるストロンチウム濃度には,サンプリング地点よる明確な違いは見られなかった.
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Research Products
(1 results)