2013 Fiscal Year Research-status Report
使用済み発泡スチロールの高品質リサイクル技術に関する研究
Project/Area Number |
25450371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
河野 俊夫 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (60224812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 廃棄物 / 発泡スチロール / リサイクル / リユース / 環境浄化 |
Research Abstract |
廃棄された発泡スチロールに付着する様々な臭い成分を分析するため、スニッファー付きガスクロマトグラフを用いて、臭い成分の種類と強度を人の官能によって評価した。また、InGaAs型近赤外検出器を装備する近赤外FT/IRを用いて、未使用の発泡スチロールと廃棄発泡スチロールそれぞれの近赤外分光スペクトルを測定して、廃棄発泡スチロールに含まれる成分にかかわると考えられる波長について調査した。 廃棄発泡スチロールからの臭い成分の抽出には、酢酸エチルによる溶解処理、および塩酸とジエチルエーテルを用いた分液抽出法を用い、ジエチルエーテルに最終抽出された臭い成分を直接、GC注入する方法により行った。近赤外FT/IRによるスペクトル分析では、顕微鏡の測定視野を1,000μm(1.0mm)角の正方域として、臭気成分の付着する発泡スチール表面の10mm角範囲で計測し、その平均スペクトルを取得した。 その結果、廃棄発泡スチロールには、梱包していた内容物の臭いに直接関係する臭気のほかに、梱包物からは想定できない、関連性のない臭気が多く感知された。これらは、廃棄された発泡スチロールが廃棄中に置かれた環境臭気の履歴を示す情報であり、臭気除去にあたっては、廃棄ルートごとに特有の環境臭気の統計的データを必要とすることが分かった。また、近赤外分光スペクトルの分析では、原スペクトルと二次微分スペクトルを用いて臭気に関連する波長を調査したが、廃棄ルートの異なるサンプル間でスペクトルの変動が大きいことから、臭気原因物質が特定し得る人工的な環境臭気条件のもとでのさらにデータを集積する必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近赤外分光法によるスペクトル分析、および人の官能評価による臭気成分の種類と強度分析についてはデータの集積が比較的容易であった。官能評価では、成分の種類が非常に多いため、60mのGC分離カラムでも完全な成分分離は難しく、かつ、人の官能評価は、被験者(臭い識別者)の鼻の感度と評価標語に左右されることから、臭気の種類を絞れるような試験方法に改善が必要である。また、既存のHPLCの検出器と分析カラムでは、検出感度と同定範囲が足りない可能性があるため、検体の濃度調整、PDA検出器の利用、分析カラムの変更などが必要であることが判り、次年度に向けての検討課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
廃棄発泡スチロールに含まれる臭気成分の推定にHPLCを利用しているが、臭気成分の種類の多さと抽出濃度の低さのため、成分推定に必要なクロマトグラム上の分離度およびピーク高さを確保できていない。このため、低濃度であっても敏感に反応する人の官能評価による手法を、成分推定の補助手段として用いた。次年度は、PDA(多波長検出器)や、高感度MCT検出器を内蔵する中赤外FT/IRによる分析手法についても検討する。 臭気原因物質が特定し得る人工的な環境臭気条件、例えば梱包物を特定の生鮮食品に絞り込み、発生が予測される臭気を限定した条件のもとで実験を行い、ピーク検出の大きな成分、もしくは人の官能で鋭敏な反応のある臭気成分の推定を試みる。また、臭気成分分析の結果とスペクトル分析の結果とを、それぞれY情報、X情報として、多変量解析により関連性を調査する。臭気成分のうち、化学中和による臭気の除去やマスキングが可能と考えられる物質については臭気除去を試み、その効果をスニッファー付きGCにより官能評価する。
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Research Products
(4 results)