2014 Fiscal Year Research-status Report
使用済み発泡スチロールの高品質リサイクル技術に関する研究
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25450371
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
河野 俊夫 高知大学, 自然科学系, 教授 (60224812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発泡スチロール / 悪臭 / 低減 / マスキング |
Outline of Annual Research Achievements |
魚箱のように、食品の輸送に用いた発泡スチロールには、様々な悪臭成分が付着しており、従来の再生処理では十分な臭気除去が行えず、食品用包装用としての再利用が非常に困難なため、廃棄物処理の現場では大きな課題となっている。本研究では、使用済みEPSの悪臭除去低減に必要な技術として、①臭気汚損状況を高速判定し選別するシステム(臭気成分推定モデル)の構築、および②悪臭原因成分に合わせた中和物質・マスキング剤を添加して、加減圧処理によって臭気低減する、使用済みEPSの臭気低減新リサイクルシステムについて研究する。このうち今年度は、EPSに付着した悪臭を、人の官能によって感じられないようにするマスキングの方法について検討した。マスキングに用いる物質は、1)廃棄可能なものでなくてはならないこと、2)EPSの原価は安いため、コストが低くなくては実用にはならないことを考慮して、カンキツからの抽出物を利用することとした。高知県特産の甘夏、柚子、文旦、および参考までにオレンジの抽出物を活用した。海産物の臭気をEPSに付着させるため、これまでの実験で特に悪臭が残存し易い海産物として帆立や鯖などを用いた。その結果、供試したカンキツの抽出物は低分子量から高分子量までの広い範囲に香気成分を保有することから、海産物に特有の悪臭成分をよくマスキングし、人の官能によるスニッフィングでは、残存臭気の強度が弱くなることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はPDAによる臭気成分の推定を行うにあたって、臭気成分は極めて微量のため、吸着剤を用いて臭気捕集し、溶媒による臭気成分の溶出と分析を試みているが、前処理の方法により出力データのばらつきが大きくなるため、データの再現性を高める方法について検討中である。このため、臭気成分の低減・マスキング手法の確立を優先して実施した。カンキツからの抽出物は悪臭のマスキング効果が高く、マスキング使用後の処理も環境への負荷が小さい点で有望であることがわかった。今回は高知県産のカンキツを中心に行っているが、マスキングの効果はほかのカンキツについても同様の効果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
先行して実施したカンキツからの抽出物による悪臭のマスキング効果が高いことが明らかになったことから、次年度は人の官能評価を中心として、GCを利用してマスキング効果のある成分に関する情報を明らかにしていきたい。成分同定には複数の機器分析が必要であるが、スペクトルデータベースを活用して、溶媒に溶出した臭気成分のスペクトルから推定する。また、現在測定中の化学中和低減法による臭気低減法ついても検討を行い、その臭気低減効果を評価する。
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Causes of Carryover |
臭気測定用消耗品などが予定よりも少額で済んだことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は臭気分析にあたり、HPLC関連の消耗品および光分析用治具消耗品の増加が予想されるため、これに活用する予定である。
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