2015 Fiscal Year Annual Research Report
作物体温と氷核形成温度の相対関係に基づいたGPS援用型広域霜害予測システムの開発
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25450372
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森 牧人 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (60325496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 安代 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (20435134)
安武 大輔 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90516113)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 氷核形成温度 / GPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、四国地域内の傾斜地上に立地する茶園で栽培されている茶樹を対象に、年度内において定期的に茶葉を採取し、実験室内において葉温の低下をモニタリングすることにより氷核形成温度の季節変化について明らかにされた。その結果、氷核形成温度には採取日による差異が認められ、冬季から夏季にかけて低下し、その後上昇する傾向がみられた。また、葉厚と氷核形成温度の間には相関関係がみられ、葉が厚いほど同温度が高くなることが示された。次に、同じサンプルを対象に電解質漏出検定を実施し、-4℃から-12℃までの範囲で段階的に環境温度を変化させ、葉内からの電解質の漏出量を測定し、凍結に伴う細胞の損傷の度合いの季節変化について調べられた。まず、電解質漏出率εを次のように定義した(ε=EC1/EC2;EC1:設定温度に対して細胞から漏れ出るEC値;EC2:高温処理より得られるECの最大値)。その結果、-4℃で凍結処理した際の漏出率は、概ねεは10~20%であり、季節的に大きな変化は認められなかった。これにより、茶葉は夏季においても、氷点下数℃の環境に対して冬季と同程度の耐性を備えていることが示唆された。一方、-12℃で凍結処理した場合、漏出率は明瞭な季節変化を示し、2月から8月にかけて上昇傾向がみられ、8月以降は低下した。中でも4月は漏出率(>80%)が突出したが、採取葉は対象年の一番初めに萌芽したものであり、耐凍性が特に弱かったことが推察された。いずれにしても、漏出率の結果のみを解釈すれば、冬季から夏季にかけて耐凍性を喪失し、夏以降は耐凍性を獲得していることが示された。 これまでの過去3年間、開発を行ってきたGPS援用型広域霜害予測システムより得られる、植生表面温度の予測値をもとに本年度の成果を取り入れることにより、特に茶に対して四国地域における霜害の広域予測の可能性も事例的に併せて示された。
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Research Products
(2 results)