2013 Fiscal Year Research-status Report
ニチニチソウアルカロイドを高効率に生産する光制御技術の探索と開発
Project/Area Number |
25450373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
兼子 敬子 (大橋 敬子) 玉川大学, 学術研究所, 准教授 (50332599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 收正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30199062)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニチニチソウ / 赤色光 / UV-A光 / アルカロイド / ビンブラスチン / ビンドリン / カタランチン |
Research Abstract |
ニチニチソウの単量体アルカロイドであるビンドリンとカタランチンの株あたり収量が最も高くなる赤色光強度の探索を行った.赤色光強度を75,150,300,600 μmol/m2/sの4段階に設定して28日間栽培を行った.地上部新鮮重と全葉新鮮重が最も大であったのは,300 μmol/m2/sであり,その全葉新鮮重は12 g/plantであった.その他の光強度の全葉新鮮重は,およそ9 g/plantであった.600 μmol/m2/sの光強度では葉の黄化が観察され,その症状は特に下位葉で顕著であった.最大展開葉の新鮮重あたりビンドリン濃度あるいはカタランチン濃度は,150 μmol/m2/sで最も高かった.したがって,株あたりビンドリン収量およびカタランチン収量は150~300 μmol/m2/sの範囲にあると推定された.この環境下で単量体を蓄積させたニチニチソウ株に,UV-A光あるいは青色光を7日間照射し,1日ごとにビンブラスチン濃度およびアンヒドロビンブラスチン濃度を測定した.赤色光のみを照射し続ける区をコントロールとした。UV-A光を照射した区では,UV-A照射後5日に葉乾物重あたり60 μg のビンブラスチン濃度が検出されたが,コントロールでは数μg程度であった.青色光照射は葉乾物重あたり20μg程度の蓄積をすることが可能であった.同一条件下において,ニチニチソウアルカロイド合成系酵素であるtryptophan decarboxylase,strictosidine synthase,desacetoxyvindoline 4-hydroxylase、2量体合成に関連する酵素peroxydase 1のmRNAを1日ごとに定量したところ,これらの発現量については光質処理区間に差は認められなかった.したがって,UV-A照射後5日において観察されたビンブラスチンの高濃度化は,アルカロイド合成系酵素の遺伝子発現量の増加に伴うものではないことが明確となった.これらの酵素の活性や活性化状態などに関わる可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニチニチソウ苗は、野生種を用いており、その苗の増殖は挿し芽による増殖か組織培養苗にる増殖に依存している。その増殖効率が良くないため、栽培実験の回数が予定よりも2回分少なくなった。実行されなかった実験は、赤緑混合光による栽培である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、挿し芽による苗数の確保に努めながら、組織培養苗の増殖に関しては外部委託することとした。それにより、3か月に1回、100株の苗を納入することが可能となる予定である。挿し芽で増殖させた苗と合わせれば、2か月に1回は栽培を行うことができる。したがって、実験の遅れを回復することが可能である。平成26年度は、赤緑光栽培は赤単色光栽培よりもビンドリンおよびカタランチン濃度を高濃度化させられるか、さらに水耕液の培養液組成を変更することでこれらのアルカロイド濃度を高濃度化できるか検討する。そして、続いて短波長光を照射することでビンブラスチンの高効率生産が可能となるか検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の進行において、苗づくりに時間を要し、栽培実験を予定よりも2回行うことができなかった。その栽培実験における消耗品と、栽培後の分析に使用する予定の試薬消耗品について、残高がついてしまった。 平成25年度に行うことができなかった栽培実験は、平成26年4月1日より開始している。さらに、苗の生産に時間を要したが、苗生産の一部を外部委託することとした。これにより、栽培実験がスムーズに進むため、当初の予定通りの平成26年度の実験を同時に行うことができることとなった。平成25年度の残高の一部を、苗の生産費用として利用することとする。
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Research Products
(3 results)