2014 Fiscal Year Research-status Report
高品質化と高効率化を実現する革新的粉末食品製造法の開発:誘導帯電バインダの利用
Project/Area Number |
25450377
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
五月女 格 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 主任研究員 (90469833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 造粒 / エレクトロスプレー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では粉末食品の高品質化とその製造プロセスの効率化を目的として、流動層造粒におけるバインダとして、誘電分極により帯電させた液滴の利用を試みる。粉末食品は微粉末の状態では使用時に湯や水に溶解する際にランピング(ダマ)を生じやすいため、溶解性を高めるため多くの場合、造粒操作により顆粒状に調製されるが、粉末食品の高品質化と製造コスト削減のため、バインダ添加量(加水量)の低減が課題となっている。本研究では、誘電分極により帯電した液滴とあらかじめ帯電させた粉末粒子間に働く静電気力を利用することにより効率的にバインダ液滴を粒子に付着させることで、加水量を低減した造粒プロセスの構築を目指す。 本年度は流動層装置内部にて、安全に安定した帯電液滴を生成させるため、合成樹脂製の部品内部に包埋された状態で、バインダ噴霧取付ノズルに取り付け可能な環状電極を試作した。バインダ微粒化用の空気圧力、バインダ供給速度、電極内径、印加電圧、合成樹脂素材が、噴霧されるバインダ液滴の電荷に及ぼす影響について調査した。 内径が10、12、16 mmの環状電極について試験を行なったところ、内径16 mmより12 mmの電極でより強く液滴が帯電したが、内径10 mmの電極では噴流が電極を包埋している樹脂部品にノズル噴流が接触し、安定した噴霧が行なえなかった。空気圧力は0.18 ~0.24 MPaにおいて、圧力が高くなるほど、液滴が強く帯電したが、0.18 MPa以下では噴流が安定しなかった。印加電圧が高くなるほど液滴は強く帯電したが、液滴供給速度が大きくなると、バインダ液滴の仮比電荷は低下した。ポリアミド6およびポリテトラフルオロエチレンにて電極包埋部品を試作したところ、ポリアミド6製部品にて、より液滴が強く帯電した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画にしたがい、電極からノズルへの放電を防ぎながら安定した帯電バインダ液滴を噴霧するための電極部品を作製して性能を評価した。電極部品に噴霧したバインダが付着すること等により、電極の性能が大幅に低下するなどの問題点が見つかり、その問題の対処に時間を要したものの、電荷量および噴流ともに安定したバインダ噴霧が行なえるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究計画にしたがい、平成26年度に作製した電極部品を用いて、帯電バインダによる食品粉末の造粒試験を行い、効率よく造粒を行なうための条件について検討を行なう。 また流動層など、造粒物の特性について、従来方法で造粒されたものと差異があるか、調査を行なう。
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