2015 Fiscal Year Annual Research Report
高品質化と高効率化を実現する革新的粉末食品製造法の開発:誘導帯電バインダの利用
Project/Area Number |
25450377
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
五月女 格 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門食品加工流通研究領域, 上級研究員 (90469833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食品 / 粉末 / 造粒 / 誘電分極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では粉末食品の高品質化とその製造プロセスの効率化を目的として、流動層造粒におけるバインダとして、誘電分極により帯電させた液滴の利用を試みた。粉末食品は微粉末の状態では使用時に湯や水に溶解する際にランピング(ダマ)を生じやすいため、溶解性を高めるため多くの場合、造粒操作により顆粒状に調製されるが、粉末食品の高品質化と製造コスト削減のため、バインダ添加量(加水量)の低減が課題となっている。本研究では、誘電分極により帯電した液滴とあらかじめ帯電させた粉末粒子間に働く静電気力を利用することにより効率的にバインダ液滴を粒子に付着させることで、加水量を低減した造粒プロセスの構築を目指した。 平成27年度は前年度までに作製した電極を流動層流動装置内部のノズルに取り付け、バインダ液滴を帯電させた状態で、デンプン等の流動層造粒を試みた。造粒の初期段階においては、バインダ液滴を正に帯電させた場合は顆粒の成長が促進され、逆に負に帯電させた場合は顆粒の成長が阻害されたが、これは試験に用いた粉末が流動層内での摩擦などにより負に帯電していたためと考えられた。造粒を継続するとバインダ液滴を正負いずれに帯電させた場合も、顆粒が大型化して粗大粒が発生した。造粒を継続すると粉末はバインダ液滴から電荷の供給を受けバインダ液滴と同極性に帯電し、またバインダ液滴はノズル近傍に設置した電極に印加した電圧と異極性に帯電することから、粉末がノズル近傍に誘引され大型の顆粒が生成したと考えられた。 研究実施期間を通して本研究では、流動層造粒装置内部のバインダ噴霧用ノズルに取り付けてバインダ液滴を帯電させることが可能な電極を開発し、効率よくバインダ液滴を帯電させるための条件を導出した。また流動層造粒におけるバインダ液滴の帯電が、顆粒の成長プロセスに与える影響について解明し、プロセス効率化のための基礎的知見を得た。
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