2014 Fiscal Year Research-status Report
かたさを熟度の指標とする果実の触覚センサによる非破壊熟度評価
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25450386
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川越 義則 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80234053)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 西洋ナシ / ラ・フランス / 熟度 / 非破壊検査 / 貫入硬度 / 触覚センサ / 接触圧力分布 / 接触面積 |
Outline of Annual Research Achievements |
試料は上山市にて収穫されたラ・フランス果実とし,昨年は2L(16個/5kg出荷箱)のみとしたが,本年はこれにL(18個)と3L(14個)を加え3階級とした。1℃で約20日間の低温処理後,追熟は12℃と16℃に設定した各恒温チャンバにより出荷箱の状態で行った。継続測定用として各温度,各階級で3個の果実を決め,毎日,質量,接触圧力分布を測定した。破壊測定は,毎日,各階級,各温度でそれぞれ2個,計12個の果実に対し質量,接触圧力分布,果肉硬度,糖度,水分を測定した。 接触圧力分布は,定盤の上に触覚センサを固定し果実の果頂部を下にして測定した。果肉硬度はφ8mmのプランジャにより,貫入速度1mm/s,貫入深さ7.95mmとした時の最大荷重とした。測定箇所は赤道面上を3等分した3カ所とし,その平均をその果実の測定値とした。水分は,果肉硬度の測定に用いていない部分から約φ20mm×6mmの果肉片を3つ切り出し,秤量缶にいれて炉乾法(105℃24h)にて測定し,3つ平均をその果実の水分とした。 接触圧力分布から最大圧力を求め,これにエレメント面積を乗じて最大荷重とし,質量で除して比最大荷重とした。追熟時間の経過とともに果肉硬度が低下し,比最大荷重も同様の傾向を示した。昨年は,すべての接触圧力分布を継続して毎日測定しており,軟化が進むと接触面に対して何らかの影響を及ぼす可能性があった。本年は1回のみの測定とし,この場合においても同様の傾向を示し,さらに階級にもよらないことが分かった。さらに接触圧力分布から果実と床との接触面積を求めた。同一果実の場合,時間の経過とともに接触面積が大きくなった。水分と比最大荷重との間には相関はみられなかった。接触圧力分布を3次元上の曲面として捉え曲面フィッティングを試みたが,接触していないと考えられる部分のノイズの影響を受け,パラメータの同定には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
触覚センサより得られた比最大荷重が果実の軟化とともに小さくなり,階級の違いによらず,比最大荷重と果肉硬度との間に相関関係があることが分かった。また,同一果実について触覚センサより得られた接触面積は追熟日数の経過とともに大きくなることが分かった。ただし,接触面積を求める際に明らかに接触していない部分にも触覚センサの出力がみられ,いくつかの閾値を試して決定したことから,閾値を決める客観的な指標を定めることが課題として残っている。さらに,果実の大きさが接触面積に影響を及ぼしており,この影響を除去する方法を見出す必要がある。以上より,当初の目標であった検量線作成まで至っていないが特徴的なパラメータを見出したことから,やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
測定条件,項目および方法は,昨年度と同様とする。実験試料が収穫される10月まで,これまでに得られた2年間のデータ解析をさらに進める。触覚センサから得られた圧力分布を触覚イメージと考え,画像解析等の手法により問題となったノイズ除去を試みる。このノイズ除去手法により,接触面積測定における閾値の客観的な決定法を見出す。さらに,接触面積から果実の大きさに影響されない特徴量となる値を求め,この値と比最大荷重を用いて多変量解析により検量線を作成する。また,生産者によると隔年で果実の出来・不出来があるとのことで,H25年度,H26年度で得られた結果から検量線を作成し,H27年度の果実に対してその検量線の適用性を検討し,ロバスト性の高い検量線にしていく。最終的に3年間を総括し,成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
計画では国際会議にて成果発表するための海外出張を予定していたが,現在までの達成度に記したとおり,論文に近い形で成果発表しなければならない国際会議に出席するまでの結果を得るに至らず,次年度に延期した。以上より,出張旅費により次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の海外出張のための旅費に次年度使用額を充て,不足分は,これまでの実績よりラ・フランス果実代を減額できることから,その分を充てる予定である。
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Research Products
(1 results)