2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450393
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松井 宏樹 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30346001)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタン生成菌 / ルーメン / 嫌気性真菌 / メタン生成抑制 / ゲノム解析 |
Research Abstract |
ウシやヒツジなどの反すう家畜に由来するメタン排出量は、全メタン排出量の15%を占めると推定されており、反すう家畜からのメタン排出削減は急務である。反すう家畜のルーメンにはメタン生成菌が多数生息している。ルーメン内のメタン生成菌は二酸化炭素と水素からメタンを生成し、生成されたメタンはゲップとなって排出される。従ってルーメンから排出されるメタンを抑制するためには、メタン生成菌によるメタン生成を抑制する技術の開発が必要である。そのためにはメタン生成菌の特性について詳しく知る必要があるが、ルーメンに由来するメタン生成菌の分離菌株数は限られている。そこで本課題では、嫌気性真菌との共培養による新たなメタン生成菌の分離方法を用いて、新奇メタン生成菌の分離と菌株の収集を目的とした。 当初、メタン生成菌フリーの嫌気性真菌を水素供給者として、共培養によりメタン生成菌の分離を行う予定であったが、フリーザーの故障により嫌気性真菌の保存株が失われてしまった。そこで嫌気性真菌に付着したメタン生成菌の分離を試みることとした。 ウシルーメン液からメタン生成菌が付着した嫌気性真菌を培養した。その後、気相に水素を加えた培地を用いてメタン生成菌のみを分離培養した。得られた菌株の16S rDNA配列を解読し、菌株の同定を行った。 合計248菌株を分離することができ、そのうちメタン生成能の示したのはわずか26菌株であった。各菌株の16S rDNA配列を解析した結果、19菌株がMethanobrevibacter ruminantiumに、5菌株がMethanobrevibactger milleraeに、1菌株がMethanobrevibacter thaueriに、1菌株がMethanomicrobium mobileに分類された。これらの菌株すべてについて凍結保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、メタン生成菌フリーの嫌気性真菌を用いた共培養によりメタン生成菌の分離を予定していたが、フリーザーの故障により保存していた嫌気性真菌を用いることができなかった。そのため、進捗度が低かった。また、メタン生成菌菌株の分離の効率が10%と予想以上に低かったため、目標の50菌株の取得はできなかった。以上の理由から必ずしも順調に進んだとは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
嫌気性真菌の分離を行い、嫌気性真菌が得られればメタン生成菌を除去し、メタン生成菌フリーの嫌気性真菌を得る。それと並行して、これまでと同じ方法で、異なるウシの個体やヒツジなどメタン生成菌を分離する。これまでに保存した菌株あるいは得られた菌株の中から菌株を選抜し、ゲノム解析に供する。
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