2014 Fiscal Year Research-status Report
卵胞発育および閉鎖過程におけるCNPシグナルの役割
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25450395
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
辻 岳人 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (90314682)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CNP / 卵胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナトリウム利尿ペプチドの1つであるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は、受容体であるNPR2に結合し、cGMPを介して特定の細胞に作用する局所因子である。近年、CNP/NPR2/cGMPのシグナル経路が卵胞の発育に関与する可能性が示されているが、どのように関与するか詳細は不明である。卵胞の発育過程では、卵胞の成長とともに細胞死を伴う卵胞の閉鎖を回避することも重要であることから、今年度においてはCNPシグナルと卵胞の顆粒層細胞における細胞死との関連性についてin vivoレベルでの検討をおこなった。 1.CNPトランスジェニック(Tg)マウスにおける卵巣の観察:生後3週齢のCNP-Tgマウスの卵巣組織切片を作成して卵胞数の測定を行った。Tgマウスの卵巣では各ステージの卵胞が観察され、野生型の同週齢マウスのものと比較して卵胞数に有意な差は認めらなかった。 2.マウスへのCNP投与による卵胞発育および卵胞閉鎖への影響:生後3週齢のマウスにCNPを4日間投与した後、卵胞数および顆粒層細胞における細胞死の頻度について解析したところ、無投与個体と比較して有意な差は認められなかった。 3.初期胞状卵胞での細胞死におけるCNP投与による影響:生後3週齢マウスにエストロゲンを投与し、さらにCNPを2日間投与した後に卵胞を観察した。その結果、対照群であるエストロゲンのみを投与した卵巣と比較して、顆粒層細胞での細胞死の頻度に有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想していた結果とは異なっていたものの、in vivoレベルでの実験は十分に行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 卵胞におけるCNP機能の下流関連因子を同定するために、培養卵胞および顆粒層細胞にCNPを添加することで発現が誘導・抑制される遺伝子を網羅的に解析する。同定した遺伝子については、卵胞発育過程における発現局在および変化量の変化をマウス卵巣を用いて解析する。 2.顆粒層細胞における細胞死におけるCNPの抑制効果を明らかにするため、マウスの卵胞を無血清状態で培養することで誘導した顆粒層細胞の細胞死に対して、CNPを培地に添加することで細胞死への抑制効果について解析する。
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Causes of Carryover |
26年度に実施する予定であった培養卵胞における遺伝子発現解析が実施できなかったため、それらの物品費が翌年度以降に使用することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越されるすべての額は、平成27年度の遺伝子発現解析のための物品費として使用する。
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