2014 Fiscal Year Research-status Report
成長ホルモン関連ペプチドによるニワトリヒナ独自の脳内摂食調節機構の解明
Project/Area Number |
25450398
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
橘 哲也 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80346832)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 畜産学 / 脳・神経 / 行動学 / 薬理学 / 栄養学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではニワトリヒナの脳内摂食調節機構における成長ホルモン関連ペプチドの役割について調べることを目的としている。昨年度に引き続き、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)とプロラクチン放出ペプチド(PrRP)の作用について調べた。 前年度は様々なアミノ酸長のGHRHおよびPrRP(1-20)の作用について調べたため、本年度はPrRP(1-30)およびPrRP(1-31)を脳室内投与した後のヒナの摂食行動の変化を調べた。その結果、いずれのPrRPもヒナの摂食を促進することが明らかとなった。次いで、GHRHおよびPrRPを腹腔内投与した後の摂食量の変化を調べたところ、GHRH(1-47)を投与した場合にのみ摂食量が低下し、その他のペプチドには効果がなかった。したがって、(1)中枢におけるGHRHとPrRPの作用はそれぞれ哺乳類とは正反対であること、中枢と末梢では作用がやや異なることを見出した。 さらに、両ペプチドの作用機序を明らかにするため、①行動学的な観点からの作用機序解明、および②ストレスとの関係に着目した内分泌学的な観点からの解明を進めた。GHRHを脳室内および腹腔内投与した場合ではいずれも自発運動量に変化はなく異常な行動が見られなかった。さらに血中コルチコステロン濃度に変化が見られなかったことから、GHRHの作用は異常行動やストレスによるものではないと考えられた。PrRPを用いた実験については今後実施予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定の実験の大部分を実施しているので、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、GHRHおよびPrRPがその他の摂食調節因子とどのような摂食調節ネットワークを形成しているかを明らかにする。そのため、両ペプチドを脳室内投与した後の間脳または視床下部における他の摂食調節因子の遺伝子発現量等を分子生物学的手法および組織学的手法で明らかにする。 また、GHRHとPrRPは成長ホルモンの分泌に影響を与えると考えられているので、これらがヒナの成長にどのような影響を与えるかを調べる。まず、各発生段階における両ペプチドの遺伝子発現量を分子生物学的手法で明らかにする。さらに、GHRHまたはPrRPを慢性脳内投与した場合の摂食および体重の変化を調べ、成長と摂食調節の関係まで明らかにする。
|
Causes of Carryover |
本年度で必要な物品を全て購入したところ、試薬メーカーのキャンペーンなどにより、予定よりも安価に購入できたため、予想よりも低予算で研究を遂行できた。本年度の研究が十分に遂行できたと判断し、次年度の物品費に充てることにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を分子生物学的手法を用いた研究の物品費(消耗品)に充てる。
|