2014 Fiscal Year Research-status Report
ウシ成長ホルモン分泌リズムの形成における光の役割と神経機構の解明
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25450403
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
粕谷 悦子 独立行政法人農業生物資源研究所, 動物生産生理機能研究ユニット, 主任研究員 (90355743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 まどか 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 上席研究員 (40355087)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウシ / 成長ホルモン / リズム / 視床下部 / ドーパミン / 光 / 下垂体 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究は、光刺激を、正常な牛ウシ成長ホルモン(GH)分泌の撹乱因子ととらえ、ドーパミン(DA)神経系を中心としたその調節機構を明らかにすることで、光環境制御によるウシGH軸の活性化を介した新しい生産性向上技術開発のための基礎的知見を蓄積することを目的としている。昨年度までに、DA神経系がウシGH分泌を刺激する作用を持つことを明らかにしたが、本年度は、夜間の光刺激によるGH分泌の抑制に及ぼすDA前駆体であるL-DOPAの投与による脳内DA増加の影響を検討した。 【方法】ホルスタイン去勢ウシを用いた。12L:12D(6:00-18:00 L)の明暗環境下において、(1)消灯、(2)消灯+L-DOPA投与、 (3)点灯(0:00-1:00の1時間)、(4)点灯+LDOPA投与の4処置を施し、23:00-3:00の4時間にわたり頚静脈カテーテルより採血し、血漿中GH濃度をラジオイムノアッセイにより測定した。 【結果と考察】夜間の光曝露によりGH分泌のピーク出現が消灯時に比べ約1時間遅延する現象は既報(Kasuya et al., 2008)と一致した。L-DOPA投与は、消灯時・光曝露時ともにGH分泌を刺激したが、光曝露によるGHピークの遅延には影響を及ぼさなかった。本年度の実験結果からは、夜間の光曝露によるGH分泌撹乱現象におけるDA神経系の役割は明らかにならなかった。また本結果は、DA神経系以外の調節機構の存在も示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光曝露によるGH分泌撹乱現象におけるDA神経系の役割は依然明確でないものの、他調節機構の存在を示唆する結果を得ており、この現象の調節機構の解明に手がかりを見出していることから、達成度はおおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
光曝露によるGH分泌撹乱現象において、当初ターゲットとしたDA神経系単独の作用は明らかとならなかった。一方、DA系以外の調節機構(例:光に対するストレス反応)の存在が示唆されることから、光曝露に対するGHの反応は非常に複雑なものと考えられる。最終年度は主に光に対するストレス反応がGH分泌に影響を与えているか否かについて検討し、その複雑なメカニズムの一端を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
所属機関産の実験牛の不足により購入の必要があることと、牛の価格が高騰していることから、牛の購入費分を上乗せとして次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
牛の購入及び飼育・手術実験等に必要な消耗品の購入を計画している。
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