2013 Fiscal Year Research-status Report
牛ふん堆肥における大腸菌の残存および再増殖機構の解明
Project/Area Number |
25450415
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
花島 大 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター酪農研究領域, 主任研究員 (20414708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 堆肥 / 大腸菌 / 温度 / REP-PCR |
Research Abstract |
牛ふん堆肥化過程における堆積物各部位の大腸菌の消長と大腸菌再汚染リスクの評価を実施した。牛ふんと低質牧草の混合物26.8tを堆積し、堆積物の中央部および両端の表層から50cmの部位に温度センサーを設置し、2週間 に1回の割合で堆肥の切り返しとサンプリングを行った。堆積物内部の温度センサー設置部位では期間を通じて大腸菌は検出限界以下であったが、温度上昇の少ない頭頂部および底部の堆肥、また切り返し後の堆肥において大腸菌が検出されたことから、切り返し作業によって大腸菌の再汚染が起きる可能性が示唆された。堆肥化開始後から14週間後には、いずれのサンプリング部位からも大腸菌は検出されなくなった。外的要因による大腸菌の汚染リスクとして堆肥舎内および周辺部の鳥獣の糞から、またホイールローダーのバケット部の拭き取りによる大腸菌の検出を試みた。目視による観察、堆肥舎内に残された足跡などから、堆肥舎内には、すずめ、カラス、タヌキ、アライグマなどの鳥獣が侵入していることが考えられたが、鳥類以外の糞は確認することができなかった。堆肥の切り返しに用いられるホイールローダーのバケット部には、多いときで100 CFU/100cm2 程度の大腸菌が検出される場合もあり、再汚染リスクの1つであると考えられた。堆肥化開始後から12週間後のサンプルに残存していた大腸菌株について、BOX A1R プライマーを用いたREP-PCRを行い、大腸菌の遺伝子型の分類を行った。異なる遺伝子型をもつ代表的な4株について、堆肥化前の牛ふん中から分離した大腸菌4株とLB培地中での37、47℃培養における12h後の濁度(OD600)を比較した結果、37℃培養では同程度の値であったが、47℃培養では堆肥残存株が有意に高い値を示し、堆肥残存株は高温域における増殖能が高い傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
堆肥化過程における大腸菌の残存部位とその消長を明らかにし、堆肥化の高温条件においても長期間残存していた複数の大腸菌株を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌が堆肥中で再増殖する際に利用する基質を明らかにするため、25年度に分離した堆肥中で残存しやすい大腸菌株を用い、安定同位体標識した基質(13C-グルコース等)を堆肥に添加し、SIP(Stable Isotope Probing)法による基質取り込みの解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額 259,612円 は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。 次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり使用する。次年度使用額 259,612円 は単位重量当りの価格が非常に高額な安定同位体標識試薬の購入に充当する。
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