2014 Fiscal Year Research-status Report
牛ふん堆肥における大腸菌の残存および再増殖機構の解明
Project/Area Number |
25450415
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
花島 大 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・酪農研究領域, 主任研究員 (20414708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 堆肥 / 大腸菌 / 安定同位体標識 / 炭素源 / SIP法 |
Outline of Annual Research Achievements |
牛糞中に未消化物として排出される可能性があるデンプンやセルロースの構成単糖であるグルコースを堆肥に添加した時の大腸菌の動態と、堆肥中の細菌群によるグルコースの取り込みをStable Isotope Probing(SIP)法を用いて評価した。 麦稈と牛糞を混合して2ヶ月間堆積した牛糞堆肥に、前年度分離した長期間にわたり堆肥中で残存していた大腸菌3株を培養、それぞれが同じ菌数になるように混合した大腸菌液を堆肥に添加するとともに、1)13C-標識グルコースを堆肥乾物当り0.5%添加、2)非標識グルコースを堆肥乾物当り0.5%添加、3)グルコース無添加の3つの区を設定した。堆肥水分は60%に調整し、30℃で24時間の培養を行った。24時間後の大腸菌数および大腸菌群数を計数するとともに、堆肥からRNAを抽出し、トリフルオロ酢酸セシウムを用いた平衡密度勾配遠心分離処理を行い、グルコースの資化によって13C-標識されたRNAを回収した。回収したRNAについて、RT-PCR後にT-RFLP法による細菌群集の解析を行った。 10^3 CFU/gの割合で堆肥に添加した大腸菌数は、24時間後に13C-グルコースおよび非標識グルコース添加区において4~6倍程度に、無添加区において2倍程度に増加した。また大腸菌群数は、13C-グルコースおよび非標識グルコース添加区において20~30倍程度に、無添加区において4倍程度まで増加した。RNAサンプルを平衡密度勾配遠心分離処理後、13C-グルコース添加区のBuoyant Density (BD)値が1.79g/mL以上となった”重い”分画から回収したRNAにおいて、T-RFLPプロファイル上の276bpおよび395bpの周辺に特徴的なピークが認められた。これらのピークは、グルコースを特異的に資化した細菌に由来すると考えられることから、現在その解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に分離した大腸菌株を用い、堆肥中における易分解性炭素源存在下での大腸菌の動態と炭素源を特異的に資化している細菌群をSIP法により特定した。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌が堆肥中で再増殖する際に利用する基質を明らかにするため、25年度に分離した堆肥中で長期間にわたり残存しやすい大腸菌株を用い、安定同位体標識したトウモロコシ種子または死菌体を堆肥に添加し、SIP法によりそれぞれの炭素基質の基質取り込みの有無を解析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額597,332円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費は、交付申請時の計画通り使用する。次年度使用額597,332円は単位重量当りの価格が非常に高価な安定同位体標識試薬、および外注分析費用に充当する。
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