2014 Fiscal Year Research-status Report
CDV二価ワクチンとサイトカインアジュバントを用いたリーシュマニアワクチンの開発
Project/Area Number |
25450421
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宏樹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50418654)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | イヌジステンパーウイルス / インターロイキン18 / リバースジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、以前我々が作出したリーシュマニア抗原LACK発現組換えイヌジステンパーウイルス(CDV-LACK)の効果を増強するために、Th1誘導型サイトカイン発現CDVを作出し、サイトカインアジュバントとして使用することで、これまで不可能であった有効な抗リーシュマニアワクチンの開発を目指すものである。 平成25年度に活性型イヌIL-18を産生する組換えCDV(rCDV-hIL2ss-cIL18)の作出に成功したことから、平成26年度はイヌを用いたリーシュマニア攻撃試験を開始した。動物実験会社の協力によりワクチン試験を開始できる目処が立ったが、施設のキャパシティの関係ですべてを同時に行うことはできなかったため、予備試験として、皮膚型リーシュマニア接種による皮膚疾患の経緯の測定(コントロール群)、およびrCDV-hIL2ss-cIL18単体接種によるリーシュマニアチャレンジへの影響を検索した。 以前行ったワクチン試験と同様のスケジュールを採用し、毎週皮膚病変(潰瘍)の大きさを測定し、接種10週後に安楽殺し剖検を行った。その結果、コントロール群では過去の試験同様に局所でのリーシュマニア増殖経過を示すことが確認された。rCDV-hIL2ss-cIL18接種群は予測された通りコントロール群と皮膚病変のサイズに有意差は見られなかった。10週後の剖検で脾臓リンパ球を回収し解析を行った結果、rCDV-hIL2ss-cIL18からのIL-18発現自体はイヌの免疫系へ影響を及ぼさない事が確認された。 また本年度は、組換えCDVと同様の構築を用いてマウスIL-18を産生する組換えCDV(rCDV-hIL2ss-mIL18)の作出を試み、成功した。さらに感染細胞から活性型マウスIL-18を産生することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、本年度はイヌでの試験を開始することができた。その結果、かつて我々が行った皮膚型リーシュマニア攻撃試験と同様の皮膚疾患の経過をとることが確認された。 これまでイヌでのリーシュマニア攻撃試験は内蔵型リーシュマニアを用いたものがほとんどで、試験期間が数ヶ月から一年以上に渡る。またワクチン効果の評価も免疫学的解析項目が多い。一方でイヌでの皮膚型リーシュマニア試験はこれまでに1例しか報告が無く、ワクチン試験は皆無である。今年度行った皮膚型リーシュマニア(L. major株)接種試験の結果、我々のこれまでの試験や過去の一例と同様の皮膚病変の経過を示したことから、非常に再現性の高い動物試験系であること、またワクチン効果の評価を潰瘍の大きさを指標として簡便にできること、さらに10週以内で終了できることなどをあわせ、優れた動物実験系が樹立できたと考える。また、脾臓リンパ球を用いた試験系も樹立し、免疫学的な評価パラメーターが増えたことから、より詳細な免疫誘導メカニズムを解析できるようになった。 さらに、我々の使用しているCDV-Yanaka株はマウスへ病原性は示さないにも関わらず免疫付与することがこれまでの予備試験から判明している。本年度は活性型マウスIL-18を産生する組換えCDVの作出にも成功し、マウスモデル系を用いた試験に着手できる目処がたったことから、最終年度に向けての準備がすべて整ったと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
再現性の高いモデル系が確立できたことから、本年度はLACK抗原発現組換えCDVとrCDV-hIL2ss-cIL18同時接種群でのL. majorチャレンジに対する抗リーシュマニア効果を検討し、IL―18のワクチン効果増強に対する評価を行う。具体的にはrCDV接種群、rCDV-LACK接種群、rCDV-LACK+rCDV-hIL2ss-cIL18併用群の3群で試験し、本年度の試験結果とあわせIL-18の免疫増強効果についてin vivo, in vitro共に評価する。 以前行ったrCDV-LACK単体ワクチン後のリーシュマニアチャレンジ試験では、潰瘍の大きさは明らかに抑制された一方で、潰瘍が消失するまでの期間の遅延がみられた。IL-18発現によるTh1誘導によって、遅延がなくなり一層の効果を示すことが期待される。 加えて、本年度はrCDV-hIL2ss-mIL18を用いたマウスへのリーシュマニア攻撃試験を行う。マウスでは皮膚型リーシュマニア症のワクチン試験が多く報告されており、実験系が確立されている。さらにこれまでの我々の試験からCDV-Yanaka株がマウスに免疫付与する事が明らかになっている。これらを踏まえ、マウス皮膚型リーシュマニア症モデルにおいても、rCDV-LACKとrCDV-hIL2ss-mIL18接種によるワクチン試験を行い、免疫学的検索とあわせて解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
諸経費を合算した結果生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にそのまま持ち越して使用する。
|
-
-
[Journal Article] Characterization of two recent Japanese field isolates of canine distemper virus and examination of the avirulent strain utility as an attenuated vaccine.2014
Author(s)
Takenaka A, Yoneda M, Seki T, Uema M, Kooriyama T, Nishi T, Fujita K, Miura R, Tsukiyama-Kohara K, Sato H, Kai C.
-
Journal Title
Vet Microbiol
Volume: 174(3-4)
Pages: 372-81
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant