2014 Fiscal Year Research-status Report
エキノコックス感染初期(虫卵から多胞化嚢胞)における遺伝子発現の推移
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25450425
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
奥 祐三郎 鳥取大学, 農学部, 教授 (60133716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 欣平 北海道立衛生研究所, 感染症部, 部長 (70414323)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 次世代シーケンサー / トランスクリプトーム / エキノコックス / 寄生虫 / 発育段階 / 診断用抗原 / ワクチン / 虫卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は次世代シーケンサーを用いて、多包条虫の虫卵、活性化虫卵および感染初期嚢胞および培養微小嚢胞のトランスクリプトームを解析し、さらに、すでにサンガー研究所から公表されている成熟嚢胞、未熟成虫、受胎成虫のデータと合わせて、 in silico 解析を行い、各発育段階の発現量を比較した。 まず、虫卵がその蛋白を発現していることがすでに判明している EG95 (EMY162)、Major egg Antigen については、同類の分子が同定され、虫卵だけでなく幼虫や成虫でも発現している分子が発見された。 次に、幼虫感染の診断用抗原である、Antigen B、Eg 19、Antigen 5 については、主に幼虫において高い発現が見られたが、Antigen Bグループでは、EnAgB8/3は3種含まれ、いずれもが成虫においても発現し、EmAg B8/5 は成虫にのみ発現が見られた。虫卵では、これらのAntigenB、Eg19、Antigen 5はほとんど発現していなかったが、Antigen II/3については、すべての発育段階で発現し、特に、虫卵での発現が顕著であった。 Taenia solium の成虫の診断用抗原として知られている糖タンパク抗原 Diagnostic antigen gp50については、今回の解析で35種の存在が予想された、発現量が高いものとしては24種あり、そのうち成虫で顕著に高いものは15種、虫卵で高いものは6種、活性化後虫卵から感染初期幼虫にかけて高いものは5種あったが、成熟幼虫ではいずれも顕著な発現はなかった。したがって、幼虫周囲のlaminated layerにおけるgp50の関与はないものと推察された。 その他、様々な糖蛋白、蛋白への糖鎖付加酵素、糖代謝系について、様々な発育段階における発現量の比較解析を行ない、現在この作業を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析時に、シーケンス結果を de novoアッセンブリーにより行ったが、混入した細菌遺伝子などの問題があり、サンガー研究所が昨年公開したエキノコックスのゲノムのデータを用いて、解析し直した。
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Strategy for Future Research Activity |
サンガー研究所が昨年公開したエキノコックスのゲノムのデータを用いて、このまま解析を続行する。このように、サンガーのデータを用いることにより、発育後期(成塾幼虫から受胎成虫まで)のデータも比較することが可能となり、エキノコックスの一生全体について遺伝子発現の推移を把握することが可能となった。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサーによって得られた遺伝子のシーケンスデータの解析方法を変更したため解析が遅れ、使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れを取り戻すために、前年度分を使用して、研究を精力的に継続する。
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