2013 Fiscal Year Research-status Report
M13ファージの生体における影響に関する免疫学的解析とワクチンへの応用
Project/Area Number |
25450427
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 周平 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (40295275)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ワクチン / バクテリオファージ / アジュバント / MyD88 / ミモトープ / ファージ療法 / M13 |
Research Abstract |
M13ファージはアジュバントの添加を必要とすることなくMyD88依存的経路で自然免疫を活性化し強いIgG抗体応答を誘導するが、M13ファージに対する免疫応答の詳細については不明な点が多い。M13ファージ粒子を担体としたワクチン開発と臨床応用を目的として、本年度はM13ファージが誘導するIgG抗体応答の解析を行った。 1.M13ファージ免疫により誘導されるIgG抗体応答:M13ファージのPBS溶液の腹腔内投与し得られた血清中のIgGの抗原特異性の解析を行ったところ、初回免疫においてはg3p特異的抗体の誘導が認められた。二回免疫した血清中においてg3pおよびg8pに特異性を示すIgG抗体が認められた。一方、ヌードマウスへのM13ファージの投与によって誘導されたファージ特異的IgG抗体は、ファージ粒子そのものに対しては結合活性を示すが、HPLC精製されたg3pおよびg8p分子に対しては反応性を示さなかった。 2.M13ファージを認識する免疫担当細胞の同定:マウス腹腔内にM13ファージを投与した後に腹腔内に浸潤してくる細胞集団についてフローサイトメトリー解析を行った結果、M13ファージ投与後3時間後にCD11b陽性細胞、9時間後には好中球の浸潤が認められ、3時間後に浸潤してきたCD11b陽性細胞へのファージの取り込みが観察された。 M13ファージは常在性であり安全であることが示唆されるが、不活化されたM13ファージの投与でも抗体応答誘導能については変わりがなかったことから、ファージ粒子表面を外来の抗原エピトープで覆い尽したファージ粒子自身が、安全性の高いワクチンとして利用できることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファージを認識し細胞内に取り込んでいる細胞集団を同定できたこと、M13ファージが誘導する抗体応答は一次および二次応答においてIgG抗体の抗原特異性が異なることを見出した事は、ファージに対する免疫応答のメカニズム解析だけでなく、今後のファージワクチン開発に大きく貢献すると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
M13ファージが誘導する免疫応答の解析と並行して、M13ファージのワクチン粒子としての有用性を明らかにするため、外来の抗原分子を提示したファージ粒子を作製し、既存のアジュバントで誘導される免疫応答との比較検討を行いたい。抗原分子の提示方法についても検討を行い、様々な疾患や感染症対策のためのワクチン開発に通用するワクチン設計法を確立を目指す。
|