2014 Fiscal Year Research-status Report
M13ファージの生体における影響に関する免疫学的解析とワクチンへの応用
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25450427
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 周平 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (40295275)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ワクチン / バクテリオファージ / M13 / ファージディスプレイ / アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の2年目である平成26年度は、M13ファージワクチンの効果および免疫応答誘導のメカニズムを解明するため、アミロイドβペプチド、スギ花粉アレルゲン (Cry j 1) のマウスB細胞エピトープをモデル抗原として、それぞれの抗原分子をコードする遺伝子をファージベクター上のg3p遺伝子5'側、もしくは、大腸菌発現ベクターに組み込まれたg8p遺伝子の5'側に組み込み、外来分子をファージのg3p、g8pもしくはg3pとg8pの両者に外来分子を提示させたファージ粒子を作製した。アミロイドβペプチドの一部の配列をg3p分子に提示させたファージ粒子をマウスの腹腔内、皮下に投与した実験では、アミロイドβペプチド特異的IgG抗体が顕著に誘導されることが明らかとなった。また、Cry j 1のマウスB細胞エピトープをg8pに提示したファージの胃内投与では、2回目の免疫以降でCry j 1特異的IgG抗体が血清中に認められたことから、粘膜ワクチンとしても利用できる可能性が示唆された。また、いずれの投与方法においてもマウスにおいて下痢などの症状、変化は認められなかった。外来分子をg8pのみ、g3pとg8pへ同時に提示にさせた場合のワクチンの効果の比較については現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究成果で、1) M13ファージの構成タンパクのうちg3pが最も抗原性が高いこと、2) g3p特異的IgG抗体応答はT細胞依存性であることを見出しているが、M13ファージ粒子そのものを免疫した場合とでは異なることが示唆されたため新規に組み換えファージの調整を行ったが、ファージの動態解析、不活化の条件検討にも着手しており、研究はおおむね計画通りに順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
M13ファージワクチンの作用メカニズムは、M13ファージ粒子そのものを免疫した場合とでは異なることが示唆されるため、M13ファージおよび外来分子を提示した組み換えファージを用いて、ファージ免疫応答の解析を進める。抗体の抗原特異性とIgGサブクラス応答、ファージ特異的T細胞応答について詳細な解析を実施する。不活化の条件については、M13ファージそのものでの予備実験が完了しているが、M13ファージワクチンで検討する。
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