2014 Fiscal Year Research-status Report
ネオスポラ症における垂直感染阻止経口投与型ワクチンに関する研究
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25450432
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
池 和憲 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (50159597)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Neospora caninum / ネオスポラ症 / ワクチン / 経口投与 / アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
ネオスポラ症は細胞内寄生原虫Neospora caninumの感染に起因する届出伝染病である。本症に対するワクチンは、①水平感染に対してはTh1型免疫が、②垂直感染に対してはTh2型が有効である。本研究の目的は、この相反する連続した事象に対するワクチンおよびワクチンプログラムの開発、特に②の問題について、経口投与型のワクチンの可能性を提示し、平成26年度の研究の概要を記する。 (2) Th1/Th2免疫の有効性のマウスにおける再確認:垂直伝播モデル作製のために必要な正常な実験動物脳内におけるシスト形成は未だ報告がない。最終年度に向けて、その可能性を検証した。Nc-Liv株タキゾイトをSCIDマウスの腹腔内に約1×106を接種し、5週間後に剖検し、脳乳剤を作製した。その脳乳剤をスナネズミ腹腔内に接種(約7×106)し、0~5週間後に剖検し、脳内シスト形成能について検証した。その結果、感染後5週目の全てのスナネズミからPCRによって原虫DNAが検出された。しかし肉眼的鏡検によっては一部のスナネズミのみから検出され、その形成は安定しなかった。 平成26年度に計画の一部修正を行った。25年度に作製したミドリムシベクタ-を構築したが、シベクターをミドリムシに安定的に形質転換することができず、さらにミドリムシには細胞壁が存在せず、経口投与後に胃を通過できないことが判明し、発現母体を細胞壁を有するクラミドモナスに変更した。そのため、(3)腸管粘膜接着因子を毒素原性大腸菌の易熱性毒素(LT)のBサブユニットにすることにし、クラミドモナスベクター内へ挿入した。さらに粘膜への接着確認用にGFP遺伝子も挿入を行い、接着ベクター作製を行った。構築ベクターをクラミドモナスに形質転換を行い、粘膜上皮細胞HT29に対する接着試験を行い、蛍光顕微鏡下でその接着能を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度実績から、当初の計画から以下の点で若干の遅延を来している。これはワクチンの材型をミドリムシからクラミドモナスに変更し、その基礎試験ならびに性状検査を行ったためである。経口投与型ワクチンであるクラミドモナスを用いた経口投与ワクチン試験を平成26年度に行えなかった。しかし一方で、クラミドモナスではすでに発現用ベクター構築がなされ、26年度には発現ベクターとして蛋白発現ベクターの構築が完了し、さらにクラミドモナスにおける蛋白発現を確認が終了している。蛋白発現は接着因子である大腸菌LT-Bサブユニットと経口蛋白であるGFPであり、さらに27年度早々にはNeospora caninum由来のワクチン候補抗原を発現させる予定である。 従って、平成27年度には経口投与型ワクチンとしての効力試験を行うことで、若干遅延気味にある進行予定は十分にカバーできるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の様にして行う。 本研究の目的はワクチン効果として、①妊娠初期にはTh1型免疫を、②妊娠後期にはTh2型免疫を誘導する、ためのワクチン接種方法の確立にある。①については以前の研究ならびに平成25年度の研究でTh1型免疫賦活物質をアジュバントに添加することですでに解決済みである。②については①でのワクチン接種後、連続的に免疫状態をTh2型に変換していく必要がある。平成27年度では、これについて、平成26年度に構築したベクターにN. caninum原虫由来の抗原を追加挿入することで最終的な経口投与型ワクチン形状である原虫抗原+腸管粘膜接着因子LT-Bサブユニットを発現させたクラミドモナスを構築する。そして本剤の経口投与による免疫状態の検討、さらに攻撃感染による免疫能を検証する予定である。
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