2015 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性神経疾患に影響を及ぼす宿主要因と環境要因
Project/Area Number |
25450433
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
西野 佳以 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (00271544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 敏之 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (10162215)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウイルス / ボルナ病ウイルス / ストレス反応 / コルチコステロン / マウス / 感染症 / ミフェプリストン / グルココルチコイドレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ボルナ病発症における環境要因(ストレス反応性内分泌分子:副腎皮質ホルモン:コルチコステロン(CORT))、および宿主要因(傍分泌分子:TGF-β)の影響に着目し、それらの作用機序を明らかにすること、さらに、増悪因子となる宿主要因を網羅的に探索し、未知の発症要因を同定することであった。平成27年度の研究の目的は、1. BDV感染マウスにおけるCORT投与の影響(環境要因に関する検討)、および2. BDV感染初代神経培養細胞における副腎皮質ホルモン添加の影響を解析することが柱であった。課題1では、C57B6マウスへマウス順化株であるBDV-CRNP5株を感染し、感染8日目にCORTペレット(5mg)あるいはプラセボペレットを皮下接種し、感染16日目および32日目に行動学的試験、および脳を採材しウイルス力価を測定した。また、32日間の観察期間中、4日毎に体重測定およびボルナ病の臨床症状を観察した。その結果、CORT未投与の感染群は継時的に臨床症状が悪化したのに対し、CORT投与群では先駆けて軽度異常が現れたが、非投与群ほど臨床症状は悪化しなかった。また、BDV感染群は非感染群に比べ体重が減少したのに対し、CORT投与群は逆に増加した。一方、脳内ウイルス力価はCORT非投与群では感染16日目と32日目で差が認められなかったが、CORT投与群では32日目の方が有意に高かった。課題2については、BDV感染初代神経培養細胞にグルココルチコイドレセプター(GR)阻害剤であるミフェプリストンを前処置すると、CORTによるウイルス伝播促進効果が一時的に阻害されることが示された。
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