2013 Fiscal Year Research-status Report
成牛型サルモネラ症原因菌が産生する新規ADP-リボシル化毒素の構造及び機能解明
Project/Area Number |
25450434
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
内田 郁夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所 寒地酪農衛生研究領域, 上席研究員 (70355204)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 成牛型サルモネラ症 / ADP-リボシル化毒素 / 病原性因子 / 百日咳毒素 / G蛋白質 / 生物活性 / 発現調節機構 / 複合体毒素 |
Research Abstract |
1990年代に入ってから成牛、特に搾乳牛のサルモネラ症が顕在化した。現在、わが国において、Salmonella Typhimurium(ST)は牛のサルモネラ症の原因血清型として最も重要である。STには、200種類以上のファージ型が存在する。1990年代になってから、欧米諸国において、多剤耐性のdefinitive phage type 104 (DT104)と呼ばれるファージ型のSTに起因した食中毒の発生が増加し、これと同時に我が国において、成牛の症例から本菌の分離が増加した。DT104は、百日咳毒素(PTX)に相同性を示す蛋白[ArtA/ArtB (ArtAB)]を産生する。そこで本研究課題では、ArtABの構造、機能および発現調節機構を明らかにし、当該蛋白のDT104における病原因子としての役割を解明することを目的とした。25年度は、ArtABの精製方法を確立し、ArtABがPTXやコレラ毒素と同様にAサブユニット1個とBサブユニット5個から成る、A1B5型の毒素であることを明らかにした。精製ArtABは百日咳毒素感受性G蛋白をリボシル化し、マウスの腹腔内に接種することにより致死活性を示した。さらに、S.Typhimurium以外の84血清型について、artABの有無を調べたところ、このうち、Salmonella bongori 、S. Worthington、S. Agoueveが、ArtABホモログを産生することを明らかにした。これらのArtABホモログは、DT104由来の蛋白と同様に百日咳毒素感受性G蛋白に対するリボシル化活性を示したが、DT104由来のものに比較して、マウスに対するLD50値は低かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、ArtABの精製方法の確立とユニット構造に関する解析についてはほぼ達成し、現在はその機能解析を実施中である。また、DT104以外のSalmonellaにおいてもArtABホモログが見つかったことは、重要な知見と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ArtABの精製が可能となったことから、精製蛋白を用いて、ArtABの生物活性について、各種細胞やマウス等の実験動物に対する投与実験により解析を進める。特に百日咳毒素との相違点を明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額483,087円は、試薬や器具等の消耗品の経費を効率的に使用して節約することにより生じた未使用額である。 次年度は計画通り、細胞やマウスを用いてArtABの生物活性に関する解析を実施する。特に、本年度の研究結果において、ArtABのマウスに対する致死活性が明らかになったことから、その要因を解明するために、ArtAB接種マウスにおけるサイトカイン等の動態をDNAアレイ解析により調べる必要が生じた。次年度使用額分は当該実験を実施するために使用する。
|
Research Products
(2 results)