2013 Fiscal Year Research-status Report
下痢性貝毒のマウス・バイオアッセイの原理解明、及び動物福祉に配慮したその改良
Project/Area Number |
25450437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 穂高 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 主任研究官 (70342904)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 下痢性貝毒 / オカダ酸 / マウス・バイオアッセイ / 実験動物 / 動物福祉 |
Research Abstract |
本年度に行った下痢性貝毒腹腔内投与後のマウスの血液学・血液生化学的解析においては、致死量の下痢性貝毒(オカダ酸)投与の1、2時間後からGOT、GPT等の肝酵素値やLDH、CPK等の組織破壊の指標値、およびヘマトクリット値、赤血球数等に著しい上昇が認められた。致死量以下~致死量のオカダ酸投与により、これらの値の上昇には明らかな用量依存性が認められた。このうち、ヘマトクリット値は用量との相関がもっとも高く、また、血液生化学検査に比べ検査も簡便であることから、先行の研究で明らかにした体温低下とともに、下痢性貝毒のマウス・バイオアッセイの早期判定、および、実験動物の苦痛軽減のためのエンドポイント設定の指標として、今後その有用性を検討する予定である。 また、本年度は体温低下、血液学・血液生化学値以外の指標として、パルスオキシメーターを用いた脈拍数の減少、あるいは経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下を指標とした、マウスの全身状態のモニタリングについて検討した。パルスオキシメーター等のモニタリング機器を用いた実験動物の麻酔下での状態管理については、すでに米国の指針において推奨されているところであり、その有用性が示されている。しかし、マウス、ラットのような小型実験動物は心拍が非常に早く、もともと末梢血流の信号が非常に微弱である上、本研究のような瀕死状態においては末梢での血流信号が検出できなくなることが確認された。そのため、パルスオキシメーターをエンドポイント設定に利用することは現時点では難しいと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
体温低下、および血液学・血液生化学値を用いたマウス・バイオアッセイの判定についてはほぼ予定通りに終了し、実用性の検証の段階に入ることが可能である。次年度以降に行う予定だったパルスオキシメーターを用いたエンドポイントの設定については、すでに実行し、残念ながら現時点での利用は難しいと考えるに至った。一方、病理学的・病態生理学的検索については途上であり、分子生物学的検索についてはまだ開始していない。研究目的の前半部分である下痢性貝毒のマウス・バイオアッセイの原理解明については若干遅れており、後半部分である下痢性貝毒のマウス・バイオアッセイの動物福祉に配慮した改良については実験計画より若干進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の計画通りに進めていく予定であるが、パルスオキシメーターを用いたエンドポイントの設定については現時点では難しいと考えられたことから、本年度に購入した心電図計を用いたエンドポイントの設定について、当初の計画に追加して検討したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・当初の計画においては、パルスオキシメーターを用いて脈拍数の減少、あるいは経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下を指標としたマウスの全身状態悪化について調べる予定であった。しかし、デモ機を用いた数度の検討において、望ましいデータが得られないことが判明したため、パルスオキシメーターの購入を見送った。その後の検討の結果、パルスオキシメーターの代替として心電図計を購入したため、当初予算計画との間に若干の差額が生じた。 ・3月に購入した消耗品等の経理処理の一部が4月以降に行われため、3月末時点での本報告書の支出額に反映されていない。 上述したように経理処理の都合により年度末時点で反映されていない支出があるため、実質的な次年度使用額は本報告書に示された額の約半分、当該年度交付額の1割程度である。計画より若干遅れている研究もあることから、当初の研究計画の通り、試薬類、実験動物、プラスチック製品等の消耗品費、学会出張、打ち合わせ等の旅費、ならびに学会参加費、英文校正料、論文掲載料などとして、使用していく計画である。
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