2014 Fiscal Year Research-status Report
下痢性貝毒のマウス・バイオアッセイの原理解明、及び動物福祉に配慮したその改良
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25450437
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 穂高 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 主任研究官 (70342904)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 下痢性貝毒 / オカダ酸 / ディノフィシストキシン / マウス・バイオアッセイ / 実験動物 / 動物福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、下痢性貝毒の主要な成分であるオカダ酸(OA)とディノフィシストキシン-1(DTX-1)の比毒性について調べた。現在までに、OAについては致死量として200μg/kg B.W.、半数致死量(LD50)として204μg/kg B.W.と225μg/kg B.W.という報告があり、DTX-1については致死量として160μg/kg B.W.という報告がある。しかし、同一条件で2つの比毒性を比べた報告はない。 OAとDTX-1について、それぞれ報告されている致死量を元に上下5用量を設定し、マウスに腹腔内投与した。投与24時間後の生存率からLD50を算出したところ、18~20gのマウス1匹あたり、OAは3.57μg/匹、DTX-1は2.89μg/匹となった。これを体重kgあたりに換算すると、OAは約186μg/kg B.W.、DTX-1は約150μg/kg B.W.となった。現在、ヨーロッパで用いられている(そして、現在、我が国においても導入されようとしているLC-MSを用いた方法で用いられる予定の)OAとDTX-1の毒性等価係数は1:1とされているが、OAに比べてDTX-1の方が1.2倍以上マウスに対する毒性が強いことが明らかとなった。経時的な観察の結果、OA、DTX-1ともに毒量と生存時間には負の相関が認められた。また、マウスの生存時間や致死曲線に2つの毒素の間に大きな差はなく、また、病態生理学的な特徴や肉眼病理学的な所見に大きな差異は認められなかった。 本研究で得られたOAとDTX-1の比毒性は、以前に報告されたOAとDTX-1の致死量の比(200μg/kg B.W.:160μg/kg B.W.)に非常に近いことから、信頼性は高いと考えられ、現在用いられているOAとDTX-1の毒性等価係数(1:1)に対し、問題提起をしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次年度に予定していたオカダ酸とディノフィシストキシン-1の比毒性に関する研究を前倒しで行った。一方、病理学的・病態生理学的検索や体温低下やヘマトクリット値を用いたマウス・バイオアッセイの判定の検討については途上であり、分子生物学的検索については開始が遅れている。これらのことから、達成度はやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、当初の計画と一部の研究が前後して行われたことを勘案しても、当初の計画より進行が若干遅れていることから、体温低下やヘマトクリット値を用いたマウス・バイオアッセイの判定の有用性の検討などから適宜取り行っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
・論文掲載料として今年度中の支払いを見込んでいたが、年度内に掲載に至らず、残額が発生した。 ・次年度に予定されている海外国際学会での発表を見込んでいるが、予想外の円安により、旅費が当初予定額を超えることが想定されるため、本年度の予算を一部次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述したように、論文掲載料、あるいは海外国際学会での学会発表の旅費、および参加費として使用する他、当初の研究計画通り、試薬類、実験動物、プラスチック製等の消耗品費、学会出張や打ち合わせ等の旅費、ならびに学会参加費、英文校正料、論文掲載料などとして、使用している予定である。
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Research Products
(6 results)