2015 Fiscal Year Research-status Report
新種のブニヤウイルスとラブドウイルスによる新興人獣共通感染症のリスク評価
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25450438
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
森川 茂 国立感染症研究所, その他部局等, その他 (00167686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加来 義浩 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (70392321)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SFTS virus / Bhanja virus / Oita virus / 動物由来ウイルス感染症 / 新興ウイルス感染症 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症血小板減少症候群(SFTS)ウイルス及び近縁ウイルスの国内浸淫度と新興ラブドウイルスBas-Cogoウイルスに近縁なウイルスが存在するか否かを明らかにし、公衆衛生上のリスク評価を行うことを目的とする。 1)国内の野生動物のSFTSウイルスと近縁ウイルスの疫学:国内の動物の血清疫学的調査を行った結果、国内の広い地域でシカ、イノシシ、アライグマ、タヌキ、ウサギなどの野生動物とイヌが抗体を保有していたが、ネコからは抗体が検出されなかった。比較的近縁なBhanjaウイルスとSFTSウイルスは、血清学的に交差しなかった。Bhanjaウイルスの血清疫学を行なった結果、国内のシカ、イノシシ、イヌから抗体が検出されなかった。国内にはSFTSウイルスは広く分布し動物に浸淫しているがBhanjaウイルスは国内にほとんど分布していないと考えられた。フタトゲチマダニ等からのSFTSウイルス遺伝子を検出し部分塩基配列を比較した結果、ヒトや動物から検出されるウイルスと同一であった。 2)Oitaウイルス、Fukuokaウイルスの血清診断法、遺伝子診断法の開発:OitaおよびFukuokaウイルスの全遺伝子配列を決定した。OitaウイルスとFukuokaウイルスは中和も含めて血清学的に交差しなかった。OitaおよびFukuokaウイルスのN遺伝子を標的とする高感度なリアルタイムRT-PCRを開発した。これらにより両ウイルスのサーベイランス手法の技術的基盤が整備された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)国内の野生動物等のSFTSウイルスとBahnjaウイルスの血清疫学、2)国内のフタトゲチマダニ等からのSFTSウイルス遺伝子は検出できたが、ウイルスは分離できなかった。これらの研究によりSFTSウイルスは野生動物に広く浸淫しているが、Bahnjaウイルスは浸淫していないことが分かった。 3)Oitaウイルス、Fukuokaウイルスの遺伝子配列を決定し、それぞれの高感度なリアルタイムRT-PCRを開発した。また、両ウイルスに血清学的交差がないことから、それぞれの抗体検出法を開発した。また、感受性細胞株を見出し、ウイルス分離を可能とした。これらにより、今後のサーベイランス手法が確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
I型インターフェロン受容体KOマウスがSFTSウイルスやBhanjaウイルスに感受性で致死的感染を起こすことから、このマウス系を用いて野生動物やマダニからウイルスを分離する方法を用いる予定である。これにより、野生動物に感染しているブニヤウイルスやラブドウイルスがより詳細に明らかになることが期待される。特に近年、コウモリ由来ウイルスによる新興感染症が相次いで発生していることから、調査対象とする動物にコウモリを加えることにより、動物のウイルス感染の実態を解明し、新興感染症発生時に迅速対応できるよう貢献したい。
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Causes of Carryover |
補助事業の目的をより精緻に達成して論文投稿を行うために実験を実施していたところ、年度内に実験等を終了することができなくなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物の血清疫学の確認試験のための経費 論文投稿料
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