2014 Fiscal Year Annual Research Report
犬のリンパ腫における薬剤耐性関連miRNAの探索と耐性克服の基礎的研究
Project/Area Number |
25450445
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では薬剤耐性機構の解明と新規治療法開発の基礎として、薬剤耐性関連microRNAに着目し研究を開始した。まず、犬リンパ腫細胞株(CL-1,GL-1)を用い、アドリアマイシン添加による薬剤耐性株とビンクリスチン添加による薬剤耐性株の作成を試みた。 また、自然発症のB細胞型リンパ腫2例、対照としてリンパ節炎の症例1例、および犬リンパ腫細胞株(CLC)からRNAを抽出し網羅的な遺伝子発現の解析を行った。結果、各検体につき2 x 107リードの塩基配列情報を取得することができた。これらの配列を、既知のイヌゲノム配列(Canis_familiaris_CanFam3.1)に対してマッピングを行い、①腫瘍に関連した融合遺伝子の検出、腫瘍に関連する既知および未知遺伝子の検出、②遺伝子の発現発現以上の検出、③腫瘍に関連した遺伝子変異について検討した。 ①4検体中3検体から各1種類ずつ、合計3種類の融合蛋白が検出された。2つは同一染色体内の遺伝子に起因する融合遺伝子であり、残り一つは、異なる染色体上にある遺伝子の融合遺伝子であったため、3つの融合遺伝子はヒトにおいて報告されているものではなく、腫瘍化に関与している可能性は低いと推測された。 ②およそ24000の遺伝子について発現を網羅的に解析し、一定量以上の遺伝子発現量があり、遺伝子発現が検体により大きく異なる遺伝子を複数見出した。今後、これらの遺伝子に対して、発現解析を行うことで犬のリンパ腫発症に関与する新しい遺伝子を特定できる可能性がある。 ③遺伝子変異については4検体で50万以上の変位箇所を同定した。今回検出された変位の90%程度は既知のSNPsではない。今後は、これまで報告されている薬剤耐性関連遺伝子や癌遺伝子での変異を中心に解析を進め、薬剤耐性に関連する遺伝子異常を特定していく。
|